設立趣旨書
20世紀後半の生物学的医学の発展は、現代の医療・福祉の分野に多大な貢献をもたらした。特にがん医療においては、基礎医学から臨床医学までの進歩はがん患者の治療成績を向上させた。しかし、これらの成果を得ても、依然多くの患者は全人的苦悩(total suffering)から解放されていない現実がある。このような状況において、患者のクオリティ・オブ・ライフ(Quality of life: QOL)の向上を目指す緩和医療(Palliative Medicine)が海外で確立されつつある。
しかし、わが国での緩和医療の取り組みは十分とは言えない。そこで我々は医療・福祉の各専門分野を包括した緩和医療を確立するため、1996年に日本緩和医療学会を創設した。本学会は、がんやその他の治癒困難な病気の全過程において、人々のQOL の向上を目指し、緩和医療を発展させるための学際的かつ学術的研究を促進し、その実践と教育を通して社会に貢献することを目的とする。
そして、特定非営利活動促進法に基づく法人格を取得することにより、現在の活動を更に拡充し、国内外の関連学会や研究会、諸団体との連携協力を行い、緩和医療の進歩普及を図り、医療・福祉の発展に寄与することを目指す。
2006年12月19日