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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.93
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2021  93
委員会活動報告
医学生・若手医師セミナーWPG活動報告
教育・研修委員会 医学生・若手医師セミナーWPG
WPG員長  山代 亜紀子
WPG員  大屋 清文、下井 辰徳、田上 恵太、廣橋 猛、松本 衣里



 医学生・若手医師セミナーWPGでは、医学生・若手医師の「緩和ケアには興味があるけれどどのようにキャリアを形成していけばよいのかわからない」といった声を拾い上げ、毎年夏にキャリア形成支援のためのセミナーを開催してきました。2009年より「医学生・研修医・若手医師のための緩和ケアセミナー」として始まり、2013年からは「医学生・若手医師のための緩和ケア夏季セミナー」として1泊2日の宿泊研修を行ってきました。
 全国各地から緩和ケアを志す医学生、若手医師が集い、積極的な意見交換や相談がなされて、交流を行う場として、継続的に開催されています。
 2020年は、未曽有の新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、現地集合型の人々の交流が難しくなり、医学生・若手医師セミナーについても例年と開催方法を再考する必要がありました。開催についてWPGで繰り返し検討した結果、開催時期と開催方法を大幅に変更し、第8回医学生・若手医師セミナーは、2021年3月21日(日)にZOOMを利用したWEBセミナーとして開催いたしました。医師1年目の方が最も多かったのですが、医学生から卒後10年目までの医師が参加し、総勢93名が聴講いたしました。
 セミナーの内容としては、まず木澤義之理事長より、「緩和ケアこれまでとこれから」というテーマで基調講演を賜りました。わが国における緩和ケアの歴史と専門性、さらに論文からみたこれからの緩和ケアの方向性と実際にどういったことをすることで、緩和ケアの質やエンド・オブ・ライフケアの向上が目指せるかについて、包括的かつ木澤理事長の知識と哲学に裏打ちされた緩和ケア医の矜持をお伺いしました。多くの参加者が感動したご講演でした。
 その後は選択講演に移り、参加者は選択講演1-1座談会「みんなで語ろう!緩和ケアのキャリアって?」または、選択講演1-2症状緩和PBL(Problem Based Learning)「明日から役立つ患者さんの苦痛緩和」のいずれかに参加しました。座談会は、岡本宗一郎先生(聖隷三方原病院 ホスピス科)、川島夏希先生(筑波メディカルセンター病院 緩和医療科)、小杉和博先生(国立がん研究センター東病院 緩和医療科)、釆野優先生(京都大学大学院 医学研究科腫瘍薬物治療学講座)、橋本孝太郎先生(医療法人社団爽秋会 ふくしま在宅緩和ケアクリニック)の5名の緩和医療医の先生方のキャリアについてお伺いしつつ、参加者からの質問に順次答えていくという方式でした。参加者からあまりに活発に質問を寄せられて、セッション時間内に全部に回答することが出来ず、回答できなかった質問には後日講師たちの回答を伝えるというほどの盛況ぶりでした。
 症状緩和PBLでは、里見絵理子先生(国立がん研究センター中央病院 緩和医療科)が、身近な症例を参考にしながら、特に悪心嘔吐を軸として、様々なシチュエーションの症例に対してどう考えてどう対応していくか、参加者が質問にWEBアンケートで答えていく形式で実施されました。こちらも、質問と答え合わせがテンポよく進んでいき、非常に充実した勉強の機会になりました。
 選択講演の後半は、選択講演2-1緩和ケアディベート対決と、選択講演2-2グループディスカッション「難しい非がん疾患のACPを話し合う」が行われました。
 緩和ケアディベート対決は、「あなたは終末期の患者さんに輸血を行うか?」というテーマについて平塚裕介先生(竹田綜合病院 緩和医療科)と松本禎久先生(国立がん研究センター東病院 緩和医療科)が、また、「あなたは終末期の患者さんが水腎症になった場合、腎瘻を入れるか?」というテーマについて石上雄一郎先生(飯塚病院 連携医療・緩和ケア科)と結束貴臣先生(横浜市立大学附属病院 緩和医療科)がご登壇され、それぞれ賛成・反対の立場に立ってディスカッションが行われました。それぞれの立場の先生は、普段の自分のスタンスによらず、あくまでディベートという競技の立場という前提で、提示された症例に基づいて議論を展開されました。説得力の高いプレゼンによって聴講者の支持ポイントが経時的に変化していき、結果発表されるまで手に汗握るディベートとなりました。
 一方の、非がん疾患のACPのグループディスカッションでは、宇井睦人先生(国際医療福祉大学成田病院 総合診療科・緩和ケアチーム)を講師として、例となった非がんの症例に対して、ブレイクアウトルーム機能を活用した小グループでディスカッションが行われました。各グループで、ACPの問題について非常に深い議論が行われたのち、宇井先生の絶妙なファシリテーションのもと、熱いディスカッションの様子が全体で共有されました。
 これらセミナーの後には、全国各地の中堅以上の緩和ケア医のご協力のもとWEB懇親会も行われ、個別にキャリアや普段の悩み事、面白い話について小グループで盛り上がり、盛会のまま終了いたしました。
 開催後アンケートでは85%以上の参加者が、すべてのセッションに対して「有用だった」または「非常に有用だった」と回答しており、WEBの強みを生かした非常に満足度の高いセミナーであったと考えられます。また、セミナーに参加後に日本緩和医療学会に入会された参加者も数名居られ、セミナーの意義が一定程度果たせたものと考えます。
 2021年度も、新型コロナウイルス感染症の動向が不透明ではありますので、「第9回 医学生・若手医師のための緩和ケアセミナーon WEB」を以下の日程で開催する予定です。緩和ケア領域でのキャリアを考えている医学生・若手医師の求める情報を提供できる場にできるよう、WPG員一同、精いっぱい準備を進めてまいります。

第9回 医学生・若手医師のための緩和ケアセミナー on WEB開催概要
日時:2022年3月6日(日)
会場:ZOOMミーティング
対象:将来、緩和ケアの実践・研究を目指す医学生、研修医、若手医師(卒後10年まで)
募集定員:450名(オブザーバー参加枠あり)
募集開始:2021年12月1日(水)から
参加費:
・医学生1,000円
・医師3,000円
・オブザーバー4,000円(11年目以上の医師およびメディカルスタッフなど)

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