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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.91
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2021  91
Journal Club
HexComによる緩和ケアの複雑性の説明:横断的多施設共同研究
国際医療福祉大学 看護学部 看護学科
大日方 裕紀

Xavier Busquet-Duran, Eva Maria Jiménez-Zafra, Josep Maria Manresa-Dominguez, Magda Tura-Poma, Olga Bosch-delaRosa, Anna Moragas-Roca, Maria Concepción Galera Padilla, Susana Martin Moreno, Emilio Martinez-Losada, Silvia Crespo-Ramírez, Ana Isabel López-Garcia, Pere Torán-Monserrat
Describing Complexity in Palliative Home Care Through HexCom: A Cross-Sectional, Multicenter Study
J Multidiscip Healthc. 2020 Mar 19;13:297-308. doi: 10.2147/JMDH.S240835. eCollection 2020. PMID: 32256078 PMCID: PMC7090197.


【目的】
 本研究は、Hexagon of Complexity(HexCom)を使用し、進行性疾患および終末期の患者の在宅ケアにおける複雑性のドメインの違いを説明することを目的とした。
【方法】
 カタルーニャ州の医師・看護師・ソーシャルワーカーのスタッフで構成される在宅ケアチームが、横断的観察研究を2015年2月〜12月に実施した。複雑性は、HexComである6つのドメイン(臨床的、精神的、社会・家族的、スピリチュアル的、倫理的、死に関するもの)と18のサブドメイン、リソースと強みの4つのドメイン(精神に関する個人、社会・家族に関する個人、トランスパーソナル、実用的)、複雑性の3つのレベル(高(H)、中(M)、低(L))で評価した。複雑性のレベルの評価は、在宅ケアチームが行い、高×100、中×10、低×1でスコア化した。(NAは除外)
【結果】
 プライマリケアサービスと在宅ケアサポートの43チームが参加し、832名の患者が評価された。患者は、平均78.73歳で、女性は47.6%だった。がん患者は61.4%であった。患者の日常生活評価(Barthel Index)は、平均値:49.83と中程度であり、患者の68.3%に認知機能の障害はみられなかった。複雑性の評価では、中程度の複雑性が47.0%、高い複雑性が42.4%であった。複雑性のスコアは、がん患者で51と最も高く、認知症患者で23と最も低かった。(p<0.001)。複雑性が最も高かったのは、社会・家族のドメインであった。複雑な状況に対処するためのリソース・強みでは、がん患者は最も利用しており、認知症患者は最も利用していなかった。
【結論】
 疾患によって複雑性のレベルとリソースには大きな違いがあり、がん患者は最も複雑性が高く、認知症患者はリソースの利用が最も少なかった。この研究により、精度の高いサポートチームの必要性、社会・家族のドメインと死に至る場所の計画の重要性、疾患グループごとの複雑性のニーズとリソースが異なることの認識、対人関係の重要性が考えられる。
【コメント】
 HexComの妥当性の評価の研究(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33557220/)では、補完的な5つの評価尺度も提示されており、専門サービスと目的に応じた使用も可能と示している。緩和ケアが必要な患者の複雑性を説明することは難しいが、本研究で使用されているHexComなどの複雑性の評価ツールを使用することで、対象となる患者の選出や複雑性自体の評価が可能となると考えられる。

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