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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.91
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2021  91
Journal Club
乳がん患者のための看護師主導のグループによる情報提供:
個別による情報提供との比較研究
防衛医科大学校 医学教育部 看護学科
小林 成光

Karin Brochstedt Dieperink, Elisabeth Ellegaard, Anja Langkjar Astrup, Henriette Tind Hasse, Caroline Matilde Elnegaard, Jeanette Dupont Jensen
Nurse-led group information for patients with breast cancer: Equal to individual information? A comparative study
Nurs Open. 2020 Oct 4;8(1):423-433. doi: 10.1002/nop2.643. eCollection 2021 Jan. PMID: 33318850 PMCID: PMC7729802.


【目的】
 乳がん患者が治療に関する情報を獲得するためには、より効果的な情報提供の在り方を検討することが重要である。本研究では、乳がん患者を対象に、個別による情報提供(個別群)と、看護師主導のグループによる情報提供(グループ群)の間で、知識、サポート、自己効力感の側面で効果を測定し、比較検討することが目的である。
【方法】
 前向き比較実験的研究デザインは、2016年1月から6月の期間にデンマークの大学病院の外来で行われた。治療計画に関する情報提供は、医師によりすべての患者に行われた。その後、患者が治療開始前に、個別群とグループ群に選別され、抗がん剤治療の実際や想定される副作用、心理的反応、セルフケアや家族ケア、フォローアッププログラムに関する情報提供が行われた。グループ群では、病院内の会議室にて、1回1時間、新規の乳がん患者3〜6名とその家族で構成されるグループを対象に、豊富な経験を持つ2名の看護師から情報提供が行われた。評価項目は、26項目から構成される「乳がんについての知識」、「医療従事者やpeersからの支援」、「日常生活における問題への対処能力(自己効力感尺度:GSE)」を、エピルビシン・シクロホスファミドによる治療を3サイクル実施した時点で測定した。
【結果】
 90名(個別群:44名、グループ群:46名)の女性乳がん患者が研究に参加した。両群の対象者背景に有意差は認めなかった。「乳がんについての知識」、「医療従事者やpeersからの支援」のいずれの項目においても、有意差は認めなかった。また、GSEの半数の項目では、グループ群のスコアが高かった(p<0.05)が、GSEの合計スコアでは有意差は認めなかった。なお、個別群およびグループ群とも知識に関する情報提供に関する満足度は高かった(95.5% vs. 97.8%)。
【結論】
 本研究により、両群による情報提供の効果において統計的な有意差は認めなかった。個別の情報提供に比べ、グループによる情報提供は、人的資源を削減できる可能性がある。そのため、人的資源を適切に配分することを考慮すると、グループによる情報提供は有用な選択肢の一つになるかもしれない。
【コメント】
 本研究は、がん治療に関する情報提供の在り方について比較検討した重要な研究である。
 実臨床では、情報提供の場は個別で行われることが多いが、今後の情報提供の在り方に新たな示唆を与えるものと考える。一方で、研究のデザインとしての限界(対象者の割付方法に問題がある、個別群の支援方法の記載がない、ベースラインのデータを収集していない、など)があるため、結果の解釈には注意が必要である。

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