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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.91
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2021  91
Journal Club
非経口でのオキシコドン投与はモルヒネと比べて
がん終末期呼吸困難を緩和することができるか?
−多施設前向き観察研究−
小牧市民病院
山本 泰大

Masanori Mori, Takashi Kawaguchi, Kengo Imai, Naosuke Yokomichi, Takashi Yamaguchi, Kozue Suzuki, Ryo Matsunuma, Hiroaki Watanabe, Isseki Maeda, Yuko Uehara, Tatsuya Morita, EASED Investigators
How Successful Is Parenteral Oxycodone for Relieving Terminal Cancer Dyspnea Compared With Morphine? A Multicenter Prospective Observational Study
J Pain Symptom Manage. 2020 Dec 5; S0885-3924(20)30931-3. doi: 10.1016/j.jpainsymman. 2020. 11. 037. PMID: 33290857.


【目的】
 終末期がん患者の死亡直前期の呼吸困難に対して非経口モルヒネは広く使用されている。しかし、オキシコドンのような他のオピオイドの有効性は広く知られていない。本研究は死亡直前期の終末期呼吸困難を有するがん患者に対する非経口モルヒネおよびオキシコドンの24時間持続投与の有効性を検証することを目的とした。
【方法】
 本研究は多施設前向き観察研究の(事前に計画された)サブグループ解析である。適格基準を満たす患者は以下の通り;緩和ケア病棟に入棟した進行がん患者、ECOG PS 3-4、Integrated Palliative care Outcome Scale(IPOS:原則として患者が評価する苦痛の評価尺度)で2以上の呼吸困難を有し、非経口モルヒネもしくはオキシコドンの持続投与を予定している患者。呼吸困難のIPOSは24時間以上測定を行った。
【結果】
 対象患者は164人(生存期間の中央値=5日間)で、呼吸困難に対してオキシコドンを26人、モルヒネを138人が投与された。平均年齢は70歳、肺癌58人(35%)、肺転移97人(59%)であった。呼吸困難のIPOSの平均スコアはオキシコドン投与によりベースラインの3.0±0.7から1.5±0.7に低下し(p<0.001)、モルヒネ投与により2.9±0.7から1.6±1.0に低下した(p<0.001)。24時間後のIPOSスコアの差は2群間で有意差なし(p=0.753)。副作用はオキシコドン群0人、モルヒネ群で5人にみられた(Grade≧3:無呼吸1人、低血圧1人)。
【結論】
 死亡直前期の終末期呼吸困難を有するがん患者に対して非経口オキシコドンはモルヒネと同等の有効性、安全性となる可能性がある。将来的には終末期呼吸困難に対してモルヒネと他のオピオイドの有効性、安全性を検証するためのRCTが実施されることが望ましい。
【コメント】
 本研究はオキシコドンとモルヒネの呼吸困難の有効性・安全性を検証した数少ない報告である。対象患者の生存期間は日単位であり、本文中では低用量でのオピオイド投与で4割近くの患者に有効であったことが記載されている(Opioid-naïve症例は約35%)。本対象に対するOpioidの用量設定においても本研究結果が示す意義は大きいと考える。
 現段階のガイドラインではオキシコドンは「モルヒネの全身投与が困難な場合の代替薬」と位置付けられているが、死亡直前期のがん患者に対しては代謝物の蓄積による影響が少ないオキシコドンの投与もより選択肢となる可能性がある。今後、更なる研究が実施され、呼吸困難に対するオピオイド治療のエビデンスが蓄積されることを期待する。

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