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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.90
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2021  90
Journal Club
免疫チェックポイント阻害薬投与患者における治療開始時のステロイドの影響
〜緩和的適応と非緩和的適応の比較〜
北海道がんセンター 薬剤部
高田 慎也

Biagio Ricciuti, Suzanne E Dahlberg, Anika Adeni, Lynette M Sholl, Mizuki Nishino, Mark M Awad
Immune Checkpoint Inhibitor Outcomes for Patients With Non-Small-Cell Lung Cancer Receiving Baseline Corticosteroids for Palliative Versus Nonpalliative Indications
J Clin Oncol. 2019 Aug 1;37(22):1927-1934. doi: 10.1200/JCO.19.00189. Epub 2019 Jun 17.


【目的】
 非小細胞肺がん(NSCLC)患者での免疫チェックポイント阻害薬の開始時に、コルチコステロイドが用いられているとアウトカムが悪化することが示唆されている。そこで、がん関連緩和目的でのステロイド使用と非がん適応目的使用を比較し関連性を明らかにすることを目的とした。
【方法】
 Dana-Farber Cancer InstituteにてJuly 2011年7月〜2018年9月にPD-(L)1阻害剤、CTLA-4阻害剤を使用し、それらの開始時に10mg以上プレドニゾロン(PSL)を投与されていたNSCLC患者と0-10mgの患者の臨床アウトカムを比較した。化学療法と併用患者は除外した。
【結果】
 650人が対象であり、93人(14.3%)が治療開始時に10mg以上のPSLを投与されており、これらの患者群では10mg未満の患者群と比して無増悪生存期間、全生存期間が有意に短い結果であった(2.0カ月 vs. 3.4カ月;P=0.01、4.9カ月 vs. 11.2カ月;P<0.001)。また、投与理由別の解析を行ったところ、緩和目的で10mg以上の投与を受けた患者群は、非投与目的で10mg以上の投与を受けた患者群、10mg未満投与の患者群と比して、無増悪生存期間、全生存期間が有意に短い結果であった(1.4 v 4.6 v 3.4カ月; P<0 .001, 2.2 v 10.7 v 11.2カ月)。
【結論】
 免疫療法の開始時に10mg以上のPSLで治療されたNSCLCの患者は0-10mgのPSLを投与された患者よりも転帰が悪いが、この理由は、緩和的適応のためにステロイド剤を使用している予後不良患者群の影響によるものと考える。
【コメント】
 ステロイド剤による免疫抑制作用が、免疫チェックポイント阻害薬の有効性を低下させることが懸念されてきたが、本研究では、生存アウトカムの差が緩和目的でステロイド剤を使用した患者群による影響があることを示した新しい知見を示した。これらの患者では免疫療法は最良のオプションとしてなり得ない可能性も視野に入れていくべきかもしれない。

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