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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.88
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2020  88
Journal Club
緩和ケアでのアロマセラピー、マッサージ、リフレクソロジーの有効性に関する
システマティック・レビュー
名古屋大学大学院医学系研究科 総合保健学専攻高度実践看護開発学講座
佐藤 一樹

Bridget Candy, Megan Armstrong, Kate Flemming, Nuriye Kupeli, Patrick Stone, Victoria Vickerstaff, Susie Wilkinson
The effectiveness of aromatherapy, massage and reflexology in people with palliative care needs: A systematic review
Palliat Med. 2020 Feb;34(2):179-194. doi: 10.1177/0269216319884198. Epub 2019 Oct 29.


【目的】
 緩和ケアを必要とする患者でのアロマセラピー、マッサージ、リフレクソロジーの有効性の現在のエビデンスを統合する。
【方法】
 コクラン・ガイドラインに準拠した方法でシステマティック・レビューを行った。進行期疾患または緩和ケアを受ける成人を対象とした、アロマセラピー、マッサージ、リフレクソロジーの有効性を検証する無作為比較試験を抽出対象論文とし、8つの論文データベースと3つの臨床試験登録システムを2018年6月まで調べた。主要評価項目は不安、痛み、QOLとし、研究の質と統合した介入効果を評価した。
【結果】
 計1,956名を対象とする22試験が同定された。比較対照群は、非実施(通常ケア)群との比較がアロマセラピー4試験、マッサージ8試験、リフレクソロジー6試験、アロマセラピーとマッサージの比較が4試験であった。研究の質は、すべての試験が何らかのバイアスを有していた。介入効果は、異質性(各試験の効果が一貫しない)のため統合した効果を算出できなかった。アロマセラピーとマッサージの不安や痛みを軽減し、QOLを高める効果については結論できなかった(有効性を示した研究と示せなかった研究のいずれもあった)。質の低いエビデンスではあるが、リフレクソロジーの痛みを軽減する効果が認められた。
【結論】
 多くの試験を同定できた一方で有効性のある質の高いエビデンスは示せず、新たな臨床実践の推奨を提案することはできない。質の高い有効性のあるエビデンスを示すためには、緩和ケアでのアロマセラピー、マッサージ、リフレクソロジーの有効性の評価項目の検討が必要であろう。
【コメント】
 アロマセラピー、マッサージ、リフレクソロジーは緩和ケア領域でよく行われるが、その有効性のエビデンスは限定的である現状が示された。著者らは有効性の評価項目の限界を指摘しているが、重要な視点である。これら補完療法には、日々の楽しみや療養環境の華やぎ、家族が実施することでの家族の悲嘆の軽減や関係性の強化などといった患者・家族への良い影響も期待できる。QOLはその概念に近いが、QOL評価尺度の構成要素がそのような内容を反映しているとは限らない。

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