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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.92
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2021  92
Journal Club
COPDにおける緩和ケアニーズと、緩和ケアのCOPD診療への統合に関する質的研究
東北大学大学院医学系研究科 保健学専攻 緩和ケア看護学分野
仙台厚生病院 看護部
富樫 慎太郎

Yu Fu, Anne Mason, Alison C Boland, Gordon Linklater, Vania Dimitrova, Ascension Donate-Martinez, Michael I Bennett
Palliative Care Needs and Integration of Palliative Care Support in COPD: A Qualitative Study
Chest.2021 Jun;159(6):2222-2232. PMID: 33434498. DOI: 10.1016/j.chest.2020.12.055. Epub 2021 Jan 9.


【目的】
 重症Chronic Obstructive Pulmonary Disease(COPD)患者に対する緩和ケア提供は依然として少なく、その結果、患者と介護者のニーズは満たせていない状況である。そこで本研究目的は、重症COPD患者と介護者の緩和ケアニーズを探索すること、緩和ケアに対する見解や経験に影響する要因が何であるかを明らかにすること、緩和ケアとCOPD診療はどの程度統合されているかを探索することとした。
【方法】
 研究デザインは、英国2カ国4施設での質的研究である。研究対象者は、重症COPD患者(適合基準:FEV1%≦30%、HOT使用、1年で2回増悪)、介護者、医療従事者(医師、看護師、理学療法士、作業療法士など)とした。データ収集は半構造化面接を行い、NVivoを用いてフレームワーク分析を行った。
【結果】
 患者20名、介護者6名、医療者24名に対するインタビュー結果から、4つのカテゴリー(増悪管理、緩和ケアニーズ、緩和ケア利用機会と実践フロー、COPD診療と緩和ケア支援の統合)を作成した。緩和ケアニーズでは、患者と介護者に共通していた項目として「緩和ケア」に対する不安と恐れが挙げられた。その他に、安心感を得ること、迅速な医療提供、自宅でのケア、経済的助言が挙げられた。緩和ケアはCOPD診療に統合されていたが、提供モデルは地域によって多様であった。緩和ケア紹介や疾患管理のために医療者が重要であると位置づけた項目は、重要なニーズに対応するための信頼性の高いスクリーニングやニーズ評価ツールが開発されること、心理学的ケアを組み込むこと、緩和ケアやコミュニケーション技術のトレーニングを強化することであった。
【結論】
 英国では、COPDを含めた非がん疾患に対する緩和ケアは臨床実装されている一方で、提供モデルは多様であった。インタビューデータから論理モデルとしてCOPD診療への緩和ケア支援の統合として実践フローを開発した。今後展望として、重要なニーズに対応するための信頼性の高いスクリーニングやニーズ評価ツール開発が求められる。
【コメント】
 著者らが強調している点は、既存の尺度では、COPDに関連する症状を系統的に評価することが難しいことである。COPDのみならず、非がん疾患患者の重要なニーズに対応するために、IPOSやアプリによる遠隔でのePROなどの継続的に同一評価が可能な尺度が求められていると考えられる。
 さらにEditorial commentでは、緩和ケアという用語に対する「終末期に近い」という偏見に対処するために、教育を通じて支持療法としての認識を得ることが必要であると紹介された。

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