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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.89
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2020  89
委員会活動報告
Palliative Care Research編集委員による初学者のための論文書き方ガイド
症例報告編
Palliative Care Research編集委員会
委員 金石 圭祐

はじめに
 第24回日本緩和医療学会総会のシンポジウムにて「症例報告の書き方」〜アイデアをかたちに 編集者からのメッセージ〜というタイトルでお話しさせていただきました。その中身を基にしまして、これまで筆頭著者として症例報告の経験が無い初学者の方を対象とした簡単なガイドを編集員の立場から今回お伝えさせていただきます。今後、症例報告を書いてみたいという方の参考にしていただければ幸いです。

1.形式について
 意外に思われるかもしれませんが、論文の形式が整っていないがために論文が受理されにくくなることが多々あります。形式の問題で論文が受理されないとするならばそれは大変に惜しいことです。ではどのような形式とすれば良いか2つのポイントを挙げます。
①投稿規定を熟読する
 論文の形式については、まず投稿規定を熟読していただけるようにお願いたします。時に投稿規定に沿わない形式の論文をみることがあります。
②Palliative Care Researchに掲載されている症例報告の形式に沿わせる
 ご自身の論文の内容に構成が比較的近しい症例報告(例えば薬剤介入により症状が改善した報告であれば、同じような構成の論文)の論文を複数検索し、その形式を真似ていただければと思います。論文の中身やアイデアはオリジナルのものであることが求められますが、形式についてはそのようなことはありません。こうしたいと思われる構成の論文を参考に、形式を組み立てみると具体的かつ実践的です。

2.論文全体の記載について
①簡潔であること
 多くの書き方の指南書にもありますが、簡潔でわかりやすい記載であることは症例報告においても重要です。一方で箇条書きのような記載は文脈として読みにくくなるので避けます。
②結論までが明確であること
 筆者の主張する結論について他の要因や結論を考慮する余地がある(多い)と結論そのものの信頼性が低くなります。症例報告の場合は特に少ない症例を提示するのでその点は明確である必要性があります。

3.項目毎に注意すること
①タイトル
 的を射たタイトルを作成します。時にタイトルと本文から伺える筆者の主張に一貫性がないと思われることがあります。読者に混乱を生じやすいので適切なタイトルにします。
②緒言
 この報告の必要性を示します。論文を進める上で重要な部分になります。ここで読者の興味を引き出せるようにします。
③症例提示
 形式に則り必要十分な記載を行います。ここでは筆者の考察などを差し込まず客観的な事実だけを記載するようにします。
④考察
 症例報告については基本的に一般化することはできないことを意識します。提示した症例について、例えばある介入が有効であったとしても、それが他の症例にも有効であるかどうかはわかりません。飛躍した結論にすべきではありません。あくまでも症例報告であることを前提に考察を記載します。

4.テーマについて
 論文の内容について新奇性は重要な要素です。論文を作成する前にこれまでの論文を検索し同様のものがないかどうかを把握します。仮に似たような報告があったとしても視点を変えることで、そこに新奇性があれば報告に値することもあります。

5.その他
 論文を作成後に、共著者や論文を読むのに慣れている方に読んでもらうと良いと思います。執筆中には気付かなかった点を指摘されることもあります。特に最初に投稿される場合はお勧めいたします。その分野の専門家というよりも専門外の方の方がかえって良いこともあります。


 普段の忙しい業務の中で、論文を作成することは中々大変なことと思います。ただ症例報告は皆さんが身近に経験された貴重な症例を見知らぬ多くの読者にその経験を伝える貴重な機会です。その報告がまた違う患者様や医療者の役に立つ可能性があります。本誌にもこれまでも多くのユニークで貴重な症例報告が掲載されてきました(学会でも一部ご紹介させていただきました)。編集部として沢山の症例報告が投稿されますことを楽しみにしております。

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