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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.89
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2020  89
Journal Club
緩和ケアチーム活動は入院患者のオピオイド用量を増やさずに
痛みを改善することができる
小牧市民病院
山本 泰大

Yu Qian, Ali Haider, Zhanni Lu, Syed Naqvi, Amy Zhuang, Kristy Nguyen, Akhila Reddy, Joseph Arthur, Kimberson Tanco, Janet Williams, Jimin Wu, Diane Liu, Jane Naberhuis, Eduardo Bruera
Factors Associated with Improvement in Uncontrolled Cancer Pain without Increasing the Opioid Daily Dose among Patients Seen by an Inpatient Palliative Care Team
J Palliat Med. 2020 Apr;23(4):483-488. doi: 10.1089/jpm.2019.0243. Epub 2019 Nov 5. PMID: 31687882


【目的】
 オピオイド増量は疼痛コントロールの標準的なアプローチであるが、緩和ケアチームの介入では非薬物療法も含めた多面的なアプローチが実施されることが多い。本研究の目的は緩和ケアチームが介入することでオピオイドの用量を増やさずに疼痛コントロール不良な入院患者の痛みを改善することができるかを検証することである。
【方法】
 対象は緩和ケアチームと対話を実施した患者で、緩和ケアチームによる2回以上の面談があり、且つEdmonton Symptom Assessment Scale(ESAS)疼痛スコア≧4を有する患者とした。本研究は後ろ向き観察研究として実施し、調査項目はオピオイド処方データ(投与経路、モルヒネ換算量)、オピオイドスイッチングの有無、精神科へのコンサルトの有無、ステロイドや鎮痛補助薬の変更の有無で、多重ロジスティック回帰分析を用いてオピオイド増量なしで疼痛改善がみられた要因を解析した。
【結果】
 対象患者300人中、疼痛改善がみられた患者は196人(65%)であり、モルヒネ換算量でオピオイド増量なしで疼痛改善がみられた患者は85人(43%)であった。オピオイド増量なしで疼痛改善がみられた要因としては、「ステロイドや鎮痛補助薬の変更する」(p=0.04)、「オピオイドスイッチングを実施しない」(p=0.005)、「ESAS精神的苦痛のスコアが低値である」(p=0.003)の3項目が検出された。
【結論】
 本研究では緩和ケアチームが介入することで約半数の患者がオピオイドの用量を増やさずに疼痛改善した。多面的な緩和ケアチームの関わりはオピオイド増量に関係なく疼痛改善に効果的である可能性がある。
【コメント】
 臨床現場でも本報告と同様に、疼痛コントロール不十分で緩和ケアチームに依頼された患者の中で、専門スタッフによる詳細な症状評価を実施した際にオピオイド増量以外のアプローチが適切である事例は少なくない。本研究結果から、専門スタッフによる適切な症状評価、ならびに治療選択の重要性を改めて感じることができた。また、本研究は単施設の後ろ向き観察研究であるため、どのような鎮痛補助薬の変更が効果的か、緩和ケアチームの介入で精神面の改善がどの程度みられたか、などの評価ができていない。今後は(多施設)前向き観察研究の実施が望まれる。

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