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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.89
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2020  89
Journal Club
台湾におけるがん性疼痛のケアパターンと疼痛コントロールに対する
GPM(Good Pain Management)病棟プログラムの有効性
兵庫県立大学 看護学部
実践基礎看護治療看護学
角甲 純

Wei-Chih Su, Chieh-Han Chuang, Fang-Ming Chen, Hsiang-Lin Tsai, Ching-Wen Huang, Tsung-Kun Chang, Ming-Feng Hou, Jaw-Yuan Wang
Effects of Good Pain Management (GPM) ward program on patterns of care and pain control in patients with cancer pain in Taiwan
Support Care Cancer. 2020 Aug 15. doi: 10.1007/s00520-020-05656-x. Online ahead of print. PMID: 32803728


【目的】
 疼痛マネジメントのアプローチを探索するために、多くの国際的なガイドラインやさまざまな研究が行われているにもかかわらず、がん性疼痛の緩和は国際的な課題になっている。しかし、日常診療のなかでは、がん性疼痛に対する標準的なケアは存在しない。台湾では、がん性疼痛マネジメントの改善を目指した、標準化された方法を確立するために、NCCN(the US National Cancer Care Network)の成人がん性疼痛ガイドラインに沿った治療を提供する、GPM(Good Pain Management)病棟プログラムの導入を検討している。
【方法】
 中等度〜重度のがん性疼痛を経験している患者を対象に、GPM群と対照群に無作為に割り付け、最初の48時間を観察し、2群間の疼痛マネジメントの効果を評価した。評価項目は、疼痛コントロール(NRS)、治療の適切性(Pain Management Index:PMI)、患者満足度とQOL(American Pain Society Patient Outcome Questionnaire:APS-POQ)を測定し分析した。また、鎮痛薬のカテゴリーに基づくアドホック分析を行った。
【結果】
 51人の患者が登録され、GPM群に26人、対照群に25人が無作為に割り付けられた。48時間後におけるGPM群と対照群の2群間の有意差は、疼痛NRSの差の平均値(GPM群-4.6, 対照群-2.8, p=0.0013)、中等度〜重度の疼痛割合(GPM群23.2%, 対照群39.8%, p<0.0001)、疼痛治療の適切性(PMI)スコア(GPM群0.64, 対照群0.33, p=0.0343)であり、いずれもGPM群で良い結果となった。また、アドホック分析により、強オピオイドを使用している患者グループで比較すると、GPM群の方が対照群に比べて、患者満足度が有意に高かった(GPM群8.1, 対照群6.8, p=0.0329)。
【結論】
 GPM病棟プログラムによって標準化された疼痛アセスメントと疼痛マネジメントを実施することで、入院48時間後の疼痛緩和、中等度〜重度の疼痛割合の減少、患者満足度の向上に有意な効果をもたらすことが明らかとなった。がん病棟におけるGPMアプローチの実践は、中等度〜重度のがん性疼痛に苦しむ患者の疼痛マネジメントを、より早くより良いものに改善することが期待できる。
【コメント】
 GPM病棟プログラムは2009年に中国のSun Yat-sen University Cancer Centerの腫瘍内科で開発されたものである。本論文内では詳しくは触れられていないが、このプログラムでは、ケア提供者である医師や看護師を対象にした教育プログラムや、患者教育システム、病棟でのポスター掲示などが行われている。看護師は、日常臨床の中で、患者が体験する疼痛に対して、支援計画を立案し、実施、評価を繰り返し行っている。本プログラムでは疼痛の程度によって評価のタイミングを変更する取り組みがあり(疼痛NRS3以下は8時間毎の評価、NRS4以上は4時間毎の評価)、そのような取り組みは、日常臨床の中で、参考になると思われる。

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