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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.89
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2020  89
理事就任挨拶
緩和ケアについて責任ある活動ができる学会を目指して


国立がん研究センター
加藤 雅志


 わが国の緩和ケアに関して、取り組むべき課題は数多くあります。かつて、終末期患者の苦痛の軽減を図ることから始まった緩和ケアは、次第に対象とする時期、疾患が拡がり、より多くの患者や家族の方々に求められています。緩和ケアを提供する者も、専門とする者だけではなく、より多くの医療関係者が幅広く提供していくことが期待されています。このように現在、わが国の緩和ケアは、苦痛を抱えるすべての患者やその家族の方々のQOLの維持向上を目指して、大きく拡がっていきつつあります。
 このように多くの方向への拡がりつつある緩和ケアの発展の中で、日本緩和医療学会がどのような方向に進んでいくのか議論し、定め、活動していくべきなのか考えていくことが改めて重要になっています。
 新たな体制での2年に向けて、私は引き続き、専門的・横断的緩和ケア推進委員会の委員長を拝命いたしました。これまでの2年間では、専門的な緩和ケアの質をより一層高めていくことを目的に、多くの方々と共に、緩和ケアチームの職種別の手引きを作成しホームページに公開することができました。このように、日本緩和医療学会では、緩和ケアを専門とする医療福祉従事者の方々を支援していく活動に引き続き取り組んでいき、わが国の専門的な緩和ケアについて責任ある牽引役として、自他ともに評価される活動を進めていくことは必須だと考えています。
 しかし、わが国の緩和ケアの課題は、専門家が質を高めていくだけでは解決できません。非がん領域、小児・AYA世代の患者、認知症を含めた高齢者、外来・在宅・施設での緩和ケアなど、まだまだ裾野を広げていかなければならない状況にあります。さらには、患者に利益あるACPを日本の社会に定着させていくためには、がんなどの治療を担う医師、メディカルスタッフ、緩和ケアの専門家、在宅医療を担う方々との連携も必要になりますし、コミュニティとの連携も重要になってきます。このように横断的な課題もまだまだ多く、日々新たな課題が生まれてきます。
 ぜひ多くの学会員の方々と、日本の緩和ケアやこれからの緩和医療学会のあり方について話し合い、全国どこでも適切な緩和ケアが提供できる体制が整備されるよう活動し、苦痛を抱えるすべての患者や家族の方々の苦痛が軽減されることが実現できることを目指して、精一杯のことをしていきたいと思います。これからの2年間、どうぞよろしくお願いします。

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