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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.89
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2020  89
巻頭言
学術大会に参加しよう
慶應義塾大学病院 緩和ケアセンター
橋口 さおり



 コロナ禍で学術大会の延期や中止が相次いでいます。未曾有の災害ともいえる状況ですので致し方ないのですが、長い時間をかけて準備をしてこられた関係者の心情を慮ると胃がキリキリと痛む思いです。一方で、これまでと違うやり方を模索するよいチャンスともいえます。学術大会の役割について改めて考えてみると、

  1. まずは自らの研究や臨床経験などの発表の大切な機会です。同じ領域の研究者や先達の意見を聞くことができますし、思いがけない質問から、研究の穴がわかることがあります。臨床については、ガイドラインに従ってやればよいのでしょうが、実際は細かいところで迷うことも多く、他施設での経験を知ることはよい勉強になります。何より発表の準備そのものが物事をじっくり考える良いチャンスとなります。
  2. その領域の今と未来の可能性を知ることができます。萌芽的な研究、第一人者の講演、基本のレクチャーなど領域全体を俯瞰することができますし、自身の立ち位置もよくわかります。
  3. 縁結びの場。研究との縁もあれば、人との縁もあります。たまたま入った会場で思いがけないアイデアに出会うことがありますし、素晴らしい発表をした研究者に質問するだけでも次の扉が開かれるかもしれません。
  4. そして息抜き。日頃の忙しさを少し離れて集中して勉強することができる贅沢な時間です。学術以外のイベントも楽しみのひとつで、明日への活力になります。
 2021年にコロナ感染がどのような状況になっているか見通すことは困難です。そのような中、各学会が集会の在り方を模索しています。WEBは空間を超越しますが、熱量を伝えるには限界があります。当会は学術大会支援WPGを立ち上げ、これから3年程度かけてこれからの学術大会の在り方を検討することになりました。今年は完全WEB開催でしたが、2021年開催の第26回学術集会はハイブリッド開催となります。WEBと現地でのそれぞれのメリットを生かせるよう鋭意準備中です。第26回大会のテーマは「初心忘るべからず」としました。よく知られた世阿弥の言葉ですが、最初の志を忘れないという意味だけではなく、その時々の花を心に刻んで次へ歩みを進めるという意味もあるそうです。
 日頃なかなか聴けない異分野の方々の特別講演、緩和医療の各領域の最新知見、問題について共に考えるシンポジウム、会員の優れた研究成果をプレゼンテーションするBest of JSPM 2021などの企画を準備して皆様のご参加をお待ちしております。

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