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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.87
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2020  87
巻頭言
緩和ケアを含む質の高いがん医療を提供するにあたっての医療機関
−保険薬局との連携を考える
日本医科大学付属病院 薬剤部
伊勢 雄也

 これまで、緩和ケアを含むがん医療を保険薬局が扱う機会は少なかった。しかし、現在では、効果も強いが副作用も強い抗がん剤が次々と市販され、院外処方されている。このような背景もあり、がん治療の有効性や安全性を確保するため、患者にレジメン(治療内容)を提供し、患者の状態を踏まえた必要な指導を行うとともに、地域の薬局薬剤師を対象とした研修会の実施などの連携体制を整備している場合、2020年4月より医療機関で診療報酬(連携充実加算:150点/月)が算定できることとなった。一方、保険薬局においても、患者のレジメンなどを把握した上で必要な服薬指導を実施したり、次回の診察時までの患者の状況を確認し、その結果を医療機関に情報提供した場合についても診療報酬(特定薬剤管理指導2加算:100点/月)が算定できることとなった。
 このような背景もあり、医療機関−保険薬局の連携は今後、益々必要となってくると同時に、患者さんに対し、質の高いがん医療を提供しやすい環境が整ったと考える。また、連携充実加算の算定には管理栄養士による栄養管理が必要となることから、今後は患者さんの状態に合わせた質の高い栄養食事指導が提供されるものと考える。
 前述のような体制が整備されるため、抗がん剤だけでなく、抗がん剤の副作用対策に用いられる薬剤や、オピオイド製剤、今後市販されるであろう、がん悪液質に用いられる薬剤などの有効性や副作用、相互作用などを医療機関−保険薬局で情報共有することは重要であることと同時に、これらの薬剤の開発は日進月歩のため、定期的な勉強会(単なる知識的な、一方的な勉強会ではなく、症例検討会のような勉強会)を双方で企画することが重要となってくると思われる。
 この新設された診療報酬を足がかりに医療機関−保険薬局の連携がこれまで以上に密になり、がん患者のQOLが今後更に向上することを切に願っている。

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