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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.86
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2020  86
委員会活動報告
委託事業委員会
委託事業委員会
委員長  下山 理史

 日頃より会員の皆さまには、厚生労働省委託事業へのご理解、ご協力を賜りまして誠にありがとうございます。本委員会の活動につき、報告させていただきます。
 委託事業委員会は、他の委員会と少し異なり、厚生労働省から「がん等における新たな緩和ケア研修等事業」の委託を受け事業を展開しております。その交付要綱には、「がん等の診療に携わる医師及びその他医療従事者に対して、基本的な緩和ケアの知識と技術を習得させるための緩和ケア研修会の開催、医療従事者を含む国民に対して普及啓発等を行い、緩和ケアの推進を図ることにより、がんその他の特定の疾病において適切に緩和ケアが提供されるようにすることを目的とする」と記載されています。この目的に準じて、本学会では、主に緩和ケア研修会に関わる活動(緩和ケア研修WPG)と緩和ケア普及啓発に関する活動(緩和ケア普及啓発WPG)を設置し、それぞれの活動を行ってまいりました。本稿では、それぞれの活動につき、以下に記載させていただきます。

1.緩和ケア研修WPGの活動
 皆さまご存じの緩和ケア研修会などに関する活動を担うWPGです。これまで主に基本的緩和ケアに関する教育コンテンツを作成し、緩和ケア研修会の企画責任者を養成するための指導者研修会を開催してまいりました。しかし、2日間の研修は開催側にも受講側にもとても負担が大きいことなどを考慮し、講義部分に関してはe-learningシステムが構築されました。このシステムが稼働したことに伴い、本研修会講義部分(座学の部分)はそちらに移行し、主にグループワークでなければ学べないような内容だけを1日型の研修で行う新しい緩和ケア研修会のシステムに本年度から全国的に本格移行しております。
 本WPGでは、あくまで委託事業費の交付要綱の範囲内でではありますが、このe-learningシステムをより内容が充実し、より使いやすいシステムにできるよう開発を進めております。なお、2018年4月に稼働を開始してから2019年12月末までで、本会集計によれば、ユーザー登録数は35,072人(うち、医師・歯科医師数は、23,969人)を、e-learning修了者は27,433人(うち、医師・歯科医師数は、20,356人)、緩和ケア研修会修了者は23,428人(うち、医師・歯科医師数は、17,695人)となっております。この数からみてみますと、研修会を受けるためだけでなく、基本的緩和ケアを学習するサイトとしても多くの職種の皆さまにご活用いただいていることがお分かりいただけるかと思います。
 今年度は、本e-learningシステムの充実と緩和ケアおよび精神腫瘍学指導者研修会(2020年2月8日開催)と同時に、心不全緩和ケアに関しても診療報酬に盛り込まれたことを受けて、あらたな研修会として、がん診療拠点病院の緩和ケアチームが循環器疾患(特に心不全)の緩和ケアにも心不全診療を行う循環器内科医などと一緒に対応できるようになることを目的とした研修会(「心不全の緩和ケアを推進するための緩和ケア担当医に対する研修会」)を一般社団法人日本循環器学会および一般社団法人日本心不全学会のご協力のもとに3月8日(日)に予定しています。
 今後も、引き続き、基本的緩和ケア学習サイトとしてより使いやすく内容も充実したe-learningシステムの充実などを目指し、WPG員、事務局員と取り組んでまいります。

追記:「心不全の緩和ケアを推進するための緩和ケア担当医に対する研修会」は、新型肺炎拡大等の影響を考慮し、中止となりました(2月21日決定)

2.緩和ケア普及啓発WPGの活動
 皆さまにはオレンジバルーンプロジェクトやオレンジバルーンのバッジでなじみがあるかと思いますが、緩和ケアを普及するための様々な取り組みを行っているWPGです。これまで、一貫して「緩和ケアの正しい理解」と「医療用麻薬に対する誤解の解消」の2点を目的として、毎年テーマを掲げて取り組んできています。
 平成から令和をまたぐこの2年間は特に、治療も仕事も生活も患者さんが自分らしく取り組んでいけるために緩和ケアをどのように使いながら治療を受けていけばよいのか、などをメインテーマとしてwebを利用した普及啓発戦略を立て取り組んできています。通常の講演会などではその場に来なければ内容を知ることができなかったために新聞への事後採録で拡散を図ってきましたが、時流に乗ってwebを用いた情報拡散を行うことにより、これまで以上に多くの一般市民、患者さん、ご家族に緩和ケアを知っていただくことができるようになったかと思います。
 また、病院などで公開講座や緩和ケアに関する講演などの際にお役立ていただけるような「緩和ケア普及啓発ツールセット」を作成し、提供もさせていただいております。中には、緩和ケアを説明するツールとしてご活用いただけるスライドやリーフレットだけでなく、がん体験者へのインタビュー動画もご用意しております。都度用途に応じてご活用いただけましたら幸いです。今年度は、がん診療における診断時からの緩和ケアをよりよく知っていただけるような資料も作成予定ですので、ぜひそちらも現場で治療にあたる先生方や医療従事者の皆さまにご活用いただけるかと思います。
 さらに、緩和ケア研修会修了者バッジの配付が終了したことに伴い、それだけでは専門的緩和ケア提供者がはっきりしない、また緩和ケア提供者は医師だけではないというご意見をもとに、緩和ケアチームバッジを昨年度作成しました。実際の配付は今年度にまたがりましたが、専門的緩和ケアを提供していることを患者さんご家族が一目見てすぐにわかり、声をかけやすくなったという現場の声も多数届いております。
 今後も緩和ケア普及に関する取り組みは、委託事業の枠組みの中ではありますが、あらゆる方向性を考えつつ取り組んでまいりたいと思っておりますので、是非とも会員の皆さまからのご意見などもお寄せいただけましたら幸いです。

 本委員会の取り組みは、会員の皆さまからのご支援、ご協力なしでは成り立ちません。是非ともこれからも熱いご支援、ご協力を賜りますよう、どうぞよろしくお願い申し上げます。

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