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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.86
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2020  86
Journal Club
オピオイド誘発性便秘の管理における腹部マッサージの効果
名桜大学 人間健康学部看護学科 成人看護学領域
木村 安貴

Yildirim D, Can G, Köknel Talu G.
The efficacy of abdominal massage in managing opioid-induced constipation.
Eur J Oncol Nurs. 2019 Aug;41:110-119. doi: 10.1016/j.ejon.2019.05.013. Epub 2019 Jun 1.


【目的】
 オピオイド誘発性便秘の管理における腹部マッサージの有効性を明らかにする。
【方法】
 ランダム化比較試験。本研究は2017年2月〜2018年1月にオピオイド誘発性便秘をきたしている204名の患者を対象に、介入群とコントロール群をそれぞれ102名ずつチェックリストを用いてランダムに選定し比較した。介入群は、15分間の腹部マッサージのガイダンスビデオ(Uysal et al, 2012)に従って、腹部マッサージを4週間、1日2回、朝食後と夕食後の30分間に実施した。一方、コントロール群は標準治療がなされた。便秘の評価には、排便日記、Bristol stool scale、および、Visual Analog Scale(VAS)を記載してもらい、胃腸機能(糞量、便の硬さ、緊張感、残便感、排便回数、膨満感)を評価した。さらに介入前後で、便秘に関する生活の質をThe Patient Assessment of Constipation Quality of Life Questionnaire(PACQLQ)を用いて評価した。
【結果】
 基本的属性、オピオイドの使用量、食習慣および活動習慣において両群に有意差はなかった。コントロール群に比べ介入群は、便の硬さ(p=0.001)、緊張感(p=0.001)、残便感(p=0.001)が有意に低く、排便回数は有意に多かった(p=0.001)。さらに、腹部マッサージ実施後は排便回数が13%増加した。また、PACQLQスコアは、介入群はコントロール群よりも有意に低く、生活の質が良好であった(p=0.001)。
【結論】
 以上のことから、腹部マッサージを行うと、排便回数が13%増加し、便の硬さや腹部の緊張感、残便感などの便秘症状を緩和し、便秘を改善することが明らかになった。さらに生活の質も改善することが観察され、腹部マッサージはオピオイド誘発性便秘の管理に効果的なアプローチである。
【コメント】
 ランダム化比較試験で腹部マッサージがオピオイド誘発性便秘の改善に有効であることを検証した重要な報告である。食物繊維の摂取状況や活動習慣などの影響も考慮して分析しているが、下剤の内服状況との比較があるとよりエビデンスが高まると考えられる。腹部マッサージはオピオイド誘発性便秘の改善だけでなく、さらにオピオイド誘発性便秘の予防効果にも期待できるかもしれない。

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