line
Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.86
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2020  86
Journal Club
がん患者のケアにおけるオピオイド誘発性便秘に対する
ポリエチレングリコール(PEG)とセンノサイドの比較試験
国際医療福祉大学病院 薬剤部/薬学部
佐藤 淳也

Hawley P, MacKenzie H, Gobbo M.
PEG vs. sennosides for opioid-induced constipation in cancer care.
Support Care Cancer. 2019 Jul 18. doi: 10.1007/s00520-019-04944-5. [Epub ahead of print]


【目的】
 歩行可能ながん患者におけるオピオイド誘発性便秘に対するポリエチレングリコール(PEG)とセンノサイドの有効性と忍容性をランダム化二重盲検およびクロスオーバーデザインによる試験で比較した。
【方法】
 対象は、オピオイド誘発性便秘のリスクがあるか、すでに経験している外来がん患者を対象とした。まず、センノサイドまたはPEGの用量を段階的に増やす標準的なプロトコールを設定し、用量設定を行った。排便は、revised Victoria Bowel Performance Scale(rBPS:-4から4までの性状と排便パターンスケール)および目標rBPSまでの到達日数、排便日数、患者の治療の好みで評価した。
【結果】
 一次治療は、70人の患者が完遂、二次治療は30人が完遂したが、解析対象は、28人であった。満足のある排便がある日数は、PEGがセンノサイドよりも1.21倍高かった(95%信頼区間:0.96-1.55)。また、目標rBPSに達する割合もPEGにおいて1.47倍高かった(95%信頼区間:0.74-2.94)。28人の患者の評価において、好みはないと答えた2人を除き、それぞれ13人がPEGおよびセンノサイドを好み、好みに違いがあるというエビデンスは得られなかった。PEGとセンノサイドの主な副作用は、腹痛(39% vs 36%)、悪心(37% vs 36%)などであり、2者に差はなかった。
【結論】
 オピオイド誘発性便秘の有効性に関して、PEGはセンノサイドに比べ有効とする弱いエビデンスを見いだした。
【コメント】
 PEG(本邦では、マクロゴール4000配合製剤が使用可能である)は、浸透圧により腸管内の水分量を増加させ、便の軟化と便容積増大をもたらすことで、生理的に大腸の蠕動運動が活発化し排便が促される。これまで緩下剤としては、酸化マグネシウムが使用されているが、腎機能障害時などは使用しにくい。PEGは、小児から腎機能障害のある高齢者にも安全に使用できることから、各種ガイドラインにおいて使用が推奨されている。さらに、PEGは、末梢性μオピオイド受容体拮抗薬(Peripherally Acting Mu-Opioid Receptor Antagonist:PAMORA)との同等性も報告されている(Am J Gastroenterol. 2019 Jun; 114(6): 954-963.)。PEG は、医療経済性も良好であり、OIC治療へのエビデンスの蓄積が期待される。

Close