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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.84
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2019  84
学会印象記
令和元年の新たな風を感じて
第13回日本緩和医療薬学会年会報告
愛和病院
萬谷 摩美子

 去る2019年5月31日〜6月2日幕張メッセにて総2,708人が集まり盛大に開催された。大会長である星薬科大学薬理学研究室教授の成田年先生は、次世代の緩和医療に目を向け、「鎮痛の正義を科学して臨床に活かす−次世代型包括的緩和医療のための緩和医療学、疼痛制御学、腫瘍免疫学、神経精神薬理学の境界統合的理解−」をメインテーマとして、疾患領域横断型のアプローチによって緩和医療と他の医療分野とを融合するという新しい風をもたらせた。一見難解なテーマではあるが、我々緩和薬物療法に関わる医療者にとって、各領域の最新知識を得ることは、臨床における未知の現象を解明するヒントとなる必要な知識であることが良く理解できた。
 痛みと睡眠、不安や抑うつとの連関、さらには痛みとがんの増殖や、免疫システムと知覚神経系痛覚伝達との連関、つまり前向きな感情を伴った脳内報酬回路の活性化の重要性が紹介された。
 また、オピオイド鎮痛薬の適正使用では、慢性痛を生物心理社会モデルで捉え、米国におけるオピオイドクライシスを理解し医療用麻薬の基礎研究データや依存症治療の臨床から有効に安全に使用する啓発が紹介された。
 口頭発表40、ポスター発表288、特別シンポジウム3、シンポジウム21、メディカルセミナー14、デザートセミナー5、委員会特別企画3、ワークショップ2、市民公開講座から構成され、多岐にわたるテーマについて熱意あふれる企画者と参加者が意見交換し双方で実りある充実感を得た。ワークショップ参加者は、職場や世代を超えた仲間との議論によって、新たな気づきを得、明日からの臨床に積極的に介入できる自信に繋がった。優秀論文賞受賞講演に続き、閉会式では優秀賞表彰式で締めくくられた。
 本学会は薬剤師のみならず、多くの医師にも参加や講演をいただき、さらなる発展が期待できる。会の同時進行で止む無く参加できなかった企画や年会に参加できなかった方々にも抄録集を一読するだけでも貴重な知識となるので是非お薦めする。
 来年は、岡山にて千堂年昭先生大会長のもと5月29日(金)〜5月31日(日)開催される。

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