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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.84
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2019  84
Journal Club
乳がんサバイバーに対するオンライン症状マネジメントプログラムの効果:無作為化比較試験
がん看護専門看護師
森川 みはる

S. K. Smith,K. MacDermott, S. Amarasekara, W. Pan, D. Mayer, M. Hockenberry
Supportive care in cancer: official journal of the Multinational Association of Supportive Care in Cancer27, 5, (May 2019): 1775-1781. DOI:10.1007/s00520-018-4431-7


【目的】
治療後10年を経過した乳がんサバイバーの30%が慢性疼痛を抱えている。慢性疼痛ガイドラインが確立されているにも関わらず、依然疼痛を抱える患者が多く新しいケアが必要である。本研究では、慢性疼痛を有する乳がん患者へオンライン上で対処スキルを伝えるセルフマネジメントカリキュラム「Reimage」の効果を評価することを目的とした。
【方法】
米デューク大学の研究者による治療後10年以上の乳がんサバイバーを対象にした無作為化比較試験である。Reimage群と通常ケア群を1:1に無作為化された。ReimageカリキュラムはWebベースコンテンツと1回のオンラインミーティング、ビデオ教育、18週間の認知リフレーミングと心身運動(問題解決思考と認知リフレーミングスキルを習得するための教育)が実施された。介入前後に疼痛の有無・強さ・疼痛による支障・抑うつ・倦怠感・自己効力感が評価され、介入後Reimageに対する満足度調査が行われた。
【結果】
122名が参加し、各群61名に割り付けられ、時間不足や体調不良などの理由で27%の参加者が継続不可となり、Reimage群34名、通常ケア群52名で解析された。Reimage群は通常ケア群より、介入前と比較し18週間後の抑うつ(P=.026)・倦怠感(P=.034)ともに有意に改善した。両群において疼痛の強さ・疼痛による支障・自己効力感の変化には有意差はみられなかった。抑うつ・倦怠感改善の予測因子の探索では、両群において自己効力感の変化が独立因子であることがわかった。また満足度においては94%が満足と回答し、89%が研究後もReimageの使用継続を希望した。
【結論】
Reimageオンラインカリキュラムは乳がんサバイバーの抑うつ・倦怠感の改善に効果があることが示唆された。今後さらなる大きな多様なサンプルによる調査が期待される。
【コメント】
サポートが届きにくい治療後の乳がんサバイバーを対象としたオンラインというアクセスしやすいツールによる介入は興味深い研究である。本研究は主目的であった慢性疼痛には変化はみられなかったが、18週間のオンラインによる介入により患者自身が症状との付き合い方を変化させていくことにより、抑うつ・倦怠感の改善に効果を示すことができ、満足度が高くReimage遂行者にとってサポーティブなツールだったと考えられる。一方で、介入群に脱落者が多く、ITT解析を行っているが群間差が生じたことが研究の限界である。

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