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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.83
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2019  83
委員会活動報告
第5回緩和ケアを目指す看護職のセミナー開催報告
教育・研修委員会 看護職セミナーWPG
WPG員長 小山 富美子
WPG委員 川村 三希子、清水 佐智子、中山 祐紀子
關本 翌子、久山 幸恵、船越 政江、岡山 幸子

 2019年3月17日(日)、会場の窓から東京スカイツリーが見えるKFCビルにおいて、「第5回緩和ケアを目指す看護職のためのセミナー」を開催しました。教育・研修委員会 委員長 山本亮先生のご挨拶から始まりました。本セミナーの目的は、緩和ケアに興味がある看護師を対象に「今後のキャリアパスの描き方を考える」です。今回は2回目の東京開催でしたが、全国(北は北海道、南は鹿児島)から62名の方が参加しました。参加動機は、緩和ケアについて考え直したい、もっと深く知りたい、自分のキャリアパスを考えてみたい、など様々でした。
 本セミナーの内容は、午前中は講師による講演、午後は、専門・認定看護師からの「私のキャリアパス」の紹介、最後に『ワールドカフェ』を導入したグループワークを行いました。
 講演は、緩和ケア科医師の余宮きのみ先生(埼玉県立がんセンター)、看護師の關本翌子先生(国立がん研究センター東病院)から、「緩和ケアで大切にしていること」をお話いただきました。余宮先生には、本セミナーの記念すべき第1回にもご講演を賜ったのですが、今回も看護師へ熱いメッセージをいただきました。特に、「患者の体験に近づく」こと、そのためには「チューニング」と「良い質問をする」ことの必要性を話して下さいました。また「現場を動かすのも看護師次第」とのお言葉もいただきました。午後の話し合いでも、余宮先生の話されたポイントは受講生の間で何度も話題にのぼり、事後アンケートでは「非常に有用だった」が100%という結果であり、先生からの言葉が受講者の心に響いたことがわかりました。
 關本先生は、ご自身のがん患者さんとの出会いを交えながら、基本的コミュ二ケーションの大切さ、患者に関心・興味をもつこと、その人の大切にしていることを知ること、頑張る患者・家族への魔法の言葉について、そして、看護師として専門職がもつ要素「知識」「技術」「マインド」を話して下さいました。また、看護に活かすコンピテンシーについて、私たち看護師は、どんな逆境にあっても看護観・倫理観に基づいた信念・良心を持つことが重要、という点もメッセージとして投げかけて下さいました。受講生から、看護師の基本的姿勢を見直す機会になった、心が洗われた気持ちになったなどの意見が聞かれました。
 「私のキャリアパス」では、緩和ケアを目指した理由、緩和ケアの魅力、困難の乗り越え方、などを3名の方にお話いただきました。がん看護専門看護師の中山祐紀子氏(医療法人財団 杏順会 越川病院)は、自身のライフスタイルから現在の職場に至った経緯、「緩和ケアは看護そのもの」つまり、日々の丁寧なケアの連続であること、病院内外の緩和ケアをつなぐことの大切さを話されました。緩和ケア認定看護師の河嶌夏來氏(国立がん研究センター東病院)は、看護師になってから現在の職場に至る経緯を話され、その様々なご経験から「日々の看護の連続は緩和ケア」「緩和ケアは緩和ケア病棟だけで提供されるものではなく、常日頃の看護の中で実践されていること」「色々な経験は人を豊かにする」などを話していただきました。そして、自分自身の心のケアの重要性も伝えて下さいました。訪問看護認定看護師の河西真理子氏(あすか山訪問看護ステーション)は、ご自身の出産の経験から専門性の方向転換をされたこと、10年後のなりたい自分を想像し、この1年何に力を入れるかを意識して学習・実践すること、訪問看護はそのものが緩和ケアであること、対象の支援者でいる姿勢が大切であることなどを話されました。演者のお話しに対して受講者から、「先輩方の話をきいて、チャレンジすることや学び続けることの大切さを感じた」「色々な経験や思いを聞くことができるとてもいい機会になった」「自分の将来の方向性を考えるうえで大変参考になった」などの意見があり、多くの刺激を受けた様子が伺えました。
 その後のワールドカフェ形式によるグループワークには講師も参加し、「緩和ケアで大切にしていること、していきたいこと」を話し、真っ白な模造紙に様々な思いを描きながら、熱く語り合いました。
 事後アンケートでは、すべての項目において、「有用であった」「今後のキャリアパスを描くうえで役立った」が90%以上でした。自由記述では、「志を同じくする皆さんと対話できて、とても嬉しかった」「勉強してたくさん努力して、患者さんにきちんと向き合おうと改めて思う」などの意見があり、本研修が緩和ケアを目指す看護師にとって有意義であったことがわかりました。
 参加されたみなさんにとって本セミナーが、緩和ケア領域で将来、キラキラと働く自分に近づく一助となり、患者・家族へのよりよいケアにつながりますようにと、WPGメンバー一同、心より願っております。

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