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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.83
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2019  83
よもやま話
がんと診断された時からの緩和ケアを促進する外来がん看護面談
交流集会「外来がん看護面談を担当する看護師をアシストするツールの
提案」を終えて
碧南市民病院
鈴木 やよひ

 外来でがんの診断を告げられた患者は、大きな衝撃を受け、つらい気持ちと向き合いながら、これからの治療を考えていかなければなりません。外来診察室では、限られた時間の中で医師の話を聞きながら、その場で患者自身が気がかりなことを質問することは、容易ではありません。そこに勤務する外来看護師が、如何に患者を支援できるかという問題は重大ですが、そこに応えるべき外来がん看護面談を担当する看護師の方略は十分に整っているとは言えません。
 春を感じる温かな日差しの中、4,700人以上の看護職が集った第33回日本がん看護学会学術集会において、日頃、疑問や迷いを抱えつつ看護面談に関わっている方、これから看護面談を担当する予定の方、自分が経験してきた面談を引き継ぎたい方、看護面談について院内研修など計画したい方へ参加をよびかけて、「外来がん看護面談を担当する看護師をアシストするツールの提案」の交流集会を開催しました。
 この交流集会は、診断時から緩和ケアを重視するために、診断結果を告知する外来の診療場面に看護師が関わり、がん看護面談を実施する際に、面談を担当する看護師をアシストする3ツール(進行・対応・継続)の開発を目指した名古屋大学大学院医学系研究科看護学専攻の安藤研究室グループが企画しています。交流集会の様子を紹介します。最初に研究グループの光行多佳子さんから「外来がん看護面談とは外来通院のがん患者やその家族に対し、身体的症状や心理社会的な不安を和らげる目的で看護師が行う個別面談である。」と定義された上で、まず進行ツール「面談のてびき」を提案しました。主治医・外来・受持ち看護師に基本情報を確認し、病状説明時に同席して患者・家族の反応と情報を得ます。事前準備をして面談を開始し、コミュニケーション・スキルを用いて感情整理し、その後にがんと診断された患者がこれからの人生をよりよく生きるためにQOLを重視する緩和ケアを強調した上で、診断時に必要な内容を意図的に、かつ適切に情報提供し、面談を終了したあと総合評価を行う流れとなっています。これは、2007年に策定されたがん対策推進基本計画の理念をもとに、がんと診断された全ての患者に必要な情報を届けることを目標として作成された『がんになったら手にとるガイド(独立行政法人国立がん研究センターがん対策情報センター)』を基盤にしています。次に、対応ツール「コミュニケーション・スキル」を提案しました。面談を行った看護師は、自身のコミュニケーション・スキル(準備・傾聴・受容・共感・感情の反映・言い換え・要約・質問・沈黙・保証)をふり返り、患者・家族に合わせて効果的にコミュニケーション・スキルを活用したか評価できます。さらに事例を重ねることで傾向を分析できる内容となっています。最後に、研究開発中の継続ツール「面談振り返りシート」を提案しました。これは、面談経験を蓄積し、よりよく面談技術を高めるために面談内容のストーリー・患者と家族の反応などを記入するものとなっています。講義終了後、参加者がツールを実際に臨床で分かりやすく活用できるように、面談のてびきとコミュニケーション・スキルを使って行う外来がん看護面談をロールプレイで紹介しました。
 満席で200人を超える参加者との交流集会を終えて、「具体的にどのようにすればよいのか、非常に参考になった」「がん看護外来などで面談を行っているが、自己流で進めているため、これで良いのかどうかわからず、またそれを検討する時間も無く、惰性で対応していた」「このツールを知り、スタッフの実践を助ける大きな力になると感じた」「自身の行っているコミュニケーションを、ツールを使って可視化し評価することの意味や必要性を考えられた」など多くの反響がありました。
 外来でのがん告知の場面が増えている中、看護師は医療チームの要となって患者とその家族を中心とした緩和ケアを推進していかなければなりません。その必要性を感じながらも、どう関わってよいか悩んでいる方々、疑問や迷いを抱えつつ看護面談に関わっている方、これから看護面談を担当する予定の方々に、面談に必要なコミュニケーション・スキルを理解して高め、効果的ながん看護面談とするために、面談を担当する看護師をアシストする3ツール(進行・対応・継続)の活用を勧めたいと感じた交流集会でした。
 研修会のわずか2日間で受講者全員がめざましく成長した。本研修会は受講者自身の潜在能力を引き出すことに大きく資する研修会であると実感できた。前述の課題が残るが、このような研修の場を継続的に提供していくことの重要性をあらためて認識した。

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