line
Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.83
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2019  83
学会印象記
ひらかれた看取りをすべての人と
−「いのち」と「死」見つめて−
新潟大学大学院保健学研究科
坂井 さゆり

 第42回日本死の臨床研究会年次大会は、2018年12月8日(土)、9日(日)に、初雪が舞う朱鷺メッセ新潟コンベンションセンターで開催された。三宅智氏(東京医科歯科大学大学院教授)と梅田恵氏(昭和大学大学院教授)の両氏が大会長の労を担われ、標記大会テーマのもと、3,104名(有料参加者2,946名、招待者53名、ボランティア105名)が参加した。大会は多くの市民も参加し、「いのちの芸術祭」が同時開催された。星になった子どもたちの写真や、患者・家族の作品から伝わる深いメッセージが、参加者の心に届けられた。プログラムは、大会長講演の後、「死の臨床の黎明期からの道」として柏木哲夫氏と田宮仁氏による貴重な対談で始まった。特別講演には、第42回大会をもって世話人代表を退任される山崎章郎氏の記念講演のほか、作家の新井満氏による「千の風に吹かれながら、いのちについて想う」、終活ジャーナリストの金子稚子氏による「『いきかた』準備 アクティブ・エンディング」、柳澤眞悟大阿闍梨による「修行とは何のためにあるのか」、そして国立情報学研究所の山田誠二氏による「人工知能AIの現状とこれから〜生と死を考える」の4題があり、参加者は熱のこもったご講演に息を呑んだ。シンポジウム6題・教育講演18題・ワークショップ4題は、場のもつ力、死の科学、地域の看取り、子どもへのケア、ケアするものへのケアなど、多様な視点から看取りについて考える機会を得た。一般演題は238題で、いずれも死の臨床ならではの多様な葛藤を伴う、価値ある事例検討と示説であった。民謡、演劇、音楽、死生学カフェなど芸術から感じる看取りもあった。最後は、劇団魚沼産☆夢ひかりによるミュージカル「心結び・田んぼオーケストラ」であった。シナリオに込められた喪失と希望、願うような子どもたちの健気な熱演が参加者に深い感動を与え、大会は閉会した。第42回大会の企画、運営、講演、参加など関わったすべての人と、いのちと死を見つめる2日間であった。心より感謝を申し上げる。

Close