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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.83
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2019  83
学会印象記
第33回日本がん看護学会学術集会に参加して
−災害関連の学びを振り返る−
千葉労災病院看護部
笠谷 美保

 2019年2月23−24日、第33回日本がん看護学会学術集会が福岡市で開催されました。メインテーマは『その人らしさを支えるがん看護〜知と技の伝承から創造へ〜』です。この学術集会は熊本大学が主催で、ゲノムにかかわる個別化医療、多施設連携など時代を反映した多様な講演が開催されていました。特に印象に残った講演は、2日目午前に行われた特別企画「災害支援〜がん患者への支援と看護師の心の変化〜」でした。シンポジストは、熊本地震の後、被災者支援に向けた看護職対象の人材育成プログラムに取り組んだ精神看護分野の専門看護師(以下CNS)である宇佐美しおり先生、東日本大震災で避難所支援の活動を行ったがん看護CNSの菅原よしえさん、熊本地震の際にがん相談支援センターとして院内外の情報集約・発信に尽力されたがん看護CNSの安達美樹さん、そして日本ではまだ数少ない災害看護CNSの岡ア敦子さんの4名でした。被災者でありながらも災害支援に携わる看護師が、どのような気持ちの変化を経験したり、周囲の支えを得て活動に取り組んでいくものなのか、実体験をもとに経時的に紹介されていました。例えば、災害発生後に非日常な状況が続き、多様な判断が求められるなかで、時に湧いてくる否定的な感情によって自身の心が荒んでいるのを感じた場合に、当然の反応であると保証されることが大切であったことが語られていました。そして他のスタッフも自身では気づかず懸命に実践に取り組んでいたので、それを還元し気づきの機会を共有したという例が紹介されていました。私自身も、東日本大震災ののち余震が続き計画停電や燃料不足で気が休まらない中、がん患者家族支援に取り組まなければならなかった時を思い出し、その時の感情が肯定された気持ちになりました。また、今回の学会では所属するSIG(Special Interest Group)災害がん看護グループによる『外来化学療法室での災害対応力を向上するために〜机上シミュレーションの活用〜』という交流集会に参加しました。120名近くの参加があり、グループディスカッションでは実践的なアクションカードの運用方法の見直しから、がん薬物療法中の静脈ルート抜針のタイミングや暴露対策まで、さまざまな議論が繰り広げられていました。昨今の日本は、いつどこで災害が起きてもおかしくない状況です。今回の学びを念頭に置きつつ、自施設でも現実的な予防対策に取り組んでいきたいと思いました。

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