line
Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.83
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2019  83
Journal Club
認知症をもつ高齢患者に対する緩和ケアのquality indicatorsに関する
系統的レビュー
横浜市立大学 学術院医学群医学部看護学科 成人看護領域
菅野 雄介

Amador S, Sampson EL, Goodman C, Robinson L; SEED Research Team. A systematic review and critical appraisal of quality indicators to assess optimal palliative care for older people with dementia. Palliat Med. 2019 Apr;33(4):415-429. doi: 10.1177/0269216319834227. Epub 2019 Mar 11.


【目的】
 緩和ケアが必要とされる認知症患者とその家族・介護者に対し、ガイドラインに基づく質の担保されたケアを提供することは重要である。本研究では、認知症のEnd of Life(EOL)ケアにおけるQuality Indicator(QI)を批判的に評価した。
【方法】
 緩和ケアのQIを参考に(de Roo et al. J Pain Symptom Manage 2013)、2018年1月までに掲載された論文のうち、認知症患者または家族・介護者のEOLケアに関するQIについて、Medline、EMBASE、PsycINFO、CINAHLより検索を行った。抽出されたQIは、EAPCより、11の領域と57の説明文を含む提言が記載された、「アルツハイマー病その他の進行性の認知症をもつ高齢者への緩和ケアと治療に関する提言」を基に学際的チームで系統的レビューを行った。
【結果】
 該当した論文8,567本中、対象となった論文は19本であり、EOLケアに関するQIは246個であった。認知症の緩和ケア白書に基づき、「その人を中心としたケア、コミュニケーション、意思決定の共有」では9.8%が該当し、「ケアの目標設定とアドバンス・ケア・プランニング」では12.6%、「ケアの継続性」では9.8%、「予後予測と時宜を得た死期の認識」では6%、「過度に積極的な、負担のかかる、あるいは無益な治療を避ける」では4.9%、「症状の最適な治療と快適さの提供」では33.3%、「心理社会的、及び、スピリチュアルな支援」では5.3%、「家族ケアと関わり」では14.6%、「医療チームの教育」では0.8%、「社会的、倫理的な問題」では2.9%であった。
【結論】
 本研究により、EAPCの緩和ケア白書の提言に基づく、認知症のEOLケアに関するQIが抽出された。今後は、抽出されたQIをアウトカム評価指標として、包括的な認知症のEOLケア介入が必要である。
【コメント】
 著者らは、SEED(the Supporting Excellence in End of life care in Dementia)の研究グループに属しており、認知症のEOLケアの質の維持・向上を図るために様々な調査研究、普及啓発を行っている(https://research.ncl.ac.uk/seed/)。今回抽出されたQIのうち、認知症のアドバンス・ケア・プランニングの効果に関しては、十分なエビデンスに至っていない(Bryant J et al. Palliat Med 2019)。予後予測や症状マネジメントなど課題はあるが、今回抽出されたQIを指標として、包括的なEOLケア介入が望まれる。

Close