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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.82
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2019  82
委員会活動報告
国際交流委員会 活動報告
国際交流委員会
副委員長  森 雅紀

 はじめまして、今年度より国際交流委員会に参加させていただきました、森雅紀と申します。国際交流委員会では、当学会をはじめとした本邦の緩和ケアに関連する重要な情報を国際社会に向けて発信するとともに、国際社会からの関連情報の収集を行っています。
 今回は、国際学会の一つである、Asia Pacific Hospice Conference (APHC 2019)についてご紹介させていただきます(https://www.aphc2019.com/)。APHCは、Asia Pacific Hospice Palliative Care Network (APHN)が2年に1回、各地域の団体と共同開催する学術大会で、2019年は8月1〜4日にインドネシアのスラバヤで開催されます。APHNは日野原重明先生がアジア太平洋地域の緩和ケア専門家に呼びかけて立ち上げられたネットワークで、20年来、同地域における幅広い交流を目的に活動しています。2021年には、日本では二回目となるAPHCが神戸で開催される予定です。
 APHC2019のテーマは“Bringing Hope to Those in Despair”(絶望の淵にある人々に希望を)です。アジア太平洋地域には、緩和ケアのリソースや、医療自体のリソースが必ずしも豊富でない地域が多数あります。モルヒネなど鎮痛薬へのアクセスも限られている地域も少なくありません。「絶望」の中で最期の日々を迎える−そのような現状が、厳然としてあります。一方、日本のように緩和ケアのリソースが比較的豊富な国においても、「絶望」感を抱える患者さんはおられます。私たちは臨床の場で、医療者としてそのような方々を前に何ができるのか。また、アジア太平洋地域の緩和ケアにどのように貢献できるのか。そのようなことを考えるきっかけになる4日間かと思います。
 本学会の木澤義之理事長がAPHC2019の学術委員会の委員長を務められ、APHNや主催国側とプログラム案を取りまとめて来られました。私も学術委員会の末席に加えていただき、プログラムの企画のお手伝いをさせていただいております。
 プログラムの内容を簡単にご紹介させていただきます。まず、プレナリー講演として、国際的にご活躍されているDavid Currow先生(オーストラリア)、Josephine Clayton先生(オーストラリア)、David Hui先生(米国)、Marie Bakitas先生(米国)がご登壇されます。それぞれ「慢性呼吸困難」「絶望の淵にある人々に希望を−アドバンスケアプラニングにおけるコミュニケーション」「死亡前3日間における最適な緩和ケア」「心不全における早期からの緩和ケア」について最新の知見と臨床への応用についてお話し下さいます。また、当大会から設けられた「日野原メモリアルレクチャー」では、Joanne Lynn先生(米国)がご発表される予定です。緩和ケアの世界では、とても「豪華」なメンバーです!
 その他、学術講演・シンポジウムや教育講演でも魅力的なプログラムが用意されており、日本からも、緩和ケアでご活躍中の先生方が10名以上演者や座長としてご登壇される予定です。各日の主なプログラムを抜粋させていただきます。

●8月1日(木):プレカンファレンス・ワークショップ
 「がん医療と緩和ケアの統合」を始め、日本人演者・座長も参加して、アジア太平洋地域でどのように考え活動するかについてのWSが複数行われます。

●8月2日(金)
 学術講演として「がん性疼痛の緩和:いかに安価な鎮痛薬を最大限活用するか」「終末期における不穏からの解放」、サテライトシンポジウムとして「心不全における緩和ケア」「認知症における緩和ケア」「糖尿病・腎不全における緩和ケア」、教育講演として「悪心・嘔吐」「食思不振・悪液質」「倦怠感」等が予定されています。

●8月3日(土)
 朝は、各領域の専門家と同じテーブルで直接話しあえるMeet the Expert(専門家と話し合う)セッションから始まります。その後、学術講演・シンポジウムとして「緩和ケアにおいて必須のリーダーシップ」「非がん疾患における疼痛緩和」「緩和ケアにおける主要トピックの最新の知見」(神経障害性疼痛、予後予測、質の改善など)、サテライトシンポジウムとして「神経疾患」「肝胆道系疾患」「感染症」、教育講演として「HIV/AIDSにおける緩和ケア」「緩和ケアナーシング」(Quality indicatorを用いた緩和ケアの向上、患者家族教育、セクシュアリティなど)等が予定されており、幅広く学ぶことができます。

●8月4日(日)
 最終日になります。朝は同じくMeet the expertセッションで始まります。学術講演・シンポジウムでは「終末期についての話し合いとアドバンスケアプラニング:アジアにおける現状・課題・展望」「小児の緩和ケア」等の演題を聞いた後、プレナリー講演があり、午後早めに終わります。最終日には2021年の日本での大会の宣伝もあり、盛り上げるお手伝いができればと思います。

 APHC2019は、国際的な緩和ケアについて学び、私たちの日々の臨床や活動を振り返る好機であるばかりでなく、インドネシアの長い歴史に基づく魅力的な文化に触れる絶好の機会でもあります。国際交流委員会からも、多くのメンバーがAPHCに参加する予定です。遠方にはなりますが、2021年の日本での大会に繋がるAPHC2019に、みなさまも是非ご一緒しませんか?アジア太平洋地域において、さらに国際交流の輪が広がることを楽しみにしております。

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