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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.82
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2019  82
Journal Club
青年期の若いがん患者の臨床試験の認識と意思決定:質的分析
名桜大学人間健康学部看護学科
木村 安貴

BMC Cancer. 2018 Jun 4;18(1):629. doi: 10.1186/s12885-018-4515-2. Perceptions of and decision making about clinical trials in adolescent and young adults with Cancer: a qualitative analysis. Bell JAH, Forcina V, Mitchell L, Tam S, Wang K, Gupta AA, Lewin J.


【目的】
 青年期の若い成人であるAYAのがん臨床試験の登録率は年齢別にみて最も低い。そこで本研究は、AYA世代特有な認識や態度を含めた臨床試験の意思決定に影響する要因を明らかにすることを目的とする。
【方法】
 対象者は15歳〜39歳の白血病、リンパ腫、肉腫、乳がんおよび精巣がん患者21名である。インタビューの内容は臨床試験について理解していること、臨床試験の経験、臨床試験登録について彼らの意思決定に影響する要因とAYAの臨床試験に対する特有の認識または態度で構成されており、個別に半構造化面接を実施した。逐語録はQualitative interpretive descriptive methodologyを用いて分析した。
【結果】
 AYAの臨床試験の参加の意思決定に影響する因子は全部で35テーマが抽出され、なかでもAYAに特化した主要なテーマは1)病状の深刻さと切迫した状況、2)短期的および長期的な治験薬の副作用、3)臨床試験への参加について誰が患者に話をもちかけるか、4)臨床試験や研究者についてのオンラインによる詳細な情報、5)臨床試験に関連する家族や友人、仲間の意見が挙げられた。
【結論】
 臨床試験におけるAYAの意思決定に社会心理的な要因と人間関係の要因が影響していることが明らかとなった。臨床試験に参加への意思決定を支える提案として、1)家族を意思決定に巻き込むこと、2)AYA世代が短期的、長期的に臨床試験に参加がおよぼす影響について考えるのを助けることが挙げられる。最後に、AYAが臨床試験について独立してアクセスできるソーシャル・ネットワーキングや一般教育について調査することは、臨床試験の参加が増加すると考える。
【コメント】
 AYA世代の意思決定に関する研究は少なく本研究はその先駆けとなる研究のひとつであると考える。臨床試験参加の意思決定の関連要因として、治験の副作用が今後の生活への影響や、家族や友人、仲間の意見についてがAYA世代の特有要因として挙げられたが、これら要因は、臨床試験だけでなく、AYA世代の様々な意思決定にも共通する要因であると考えられた。AYA世代の意思決定支援においてこれら要因を考慮した支援と更なる研究が必要である。

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