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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.82
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2019  82
Journal Club
がん患者の呼吸困難に対する即放性オキシコドンの有効性:がん性呼吸困難緩和試験
北海道がんセンター 薬剤部
高田 慎也

Jpn J Clin Oncol. 2018 Dec 1;48(12):1070-1075. doi: 10.1093/jjco/hyy139. Efficacy of immediate-release oxycodone for dyspnoea in cancer patient: cancer dyspnoea relief (CDR) trial. Yamaguchi T, Matsuda Y, Matsuoka H, Hisanaga T, Osaka I, Watanabe H, Maeda I, Imai K, Tsuneto S, Wagatsuma Y, Kizawa Y.


【目的】
 がんによる呼吸困難に対する一次薬物療法として、複数のガイドラインがモルヒネを推奨しているが、他のオピオイドと比較した臨床試験は実施されていなかった。そこで、がん患者の呼吸困難症状緩和を目的としたモルヒネに対するオキシコドンの非劣性を検証するための試験が行われた。
【方法:試験デザイン】
 多施設共同オープンランダム化並行群間比較試験として実施され、呼吸困難が認められたがん患者を2群に1:1でランダム化した。群の詳細は、単一用量の経口即放性オキシコドン投与群、またはモルヒネ投与群としている。評価項目は、NRS(0〜10)を用いた呼吸困難の変化および薬剤投与後の有害事象としている。
【結果】
 本試験は信頼できる期間、成熟度に達する前に中止された。今回、17例が組み入れされ、オキシコドン群8例、モルヒネ群9例で評価を行った。オキシコドン群の呼吸困難の程度は、60分で1.75点[95% CI :0.72-2.78]、120分で1.50点[95% CI :-0.11-3.11]低下した。一方、モルヒネ群の呼吸困難は、60分で1.33点[95% CI: 0.41-2.25]、120分で1.00点[95% CI:-0.08-2.08]低下であり、非劣性の条件を満たさなかった。また、モルヒネ群では60分で2例、120分で4例に傾眠が認められたが、オキシコドン群では顕著な有害事象は確認されていない。
【結論】
 オキシコドンの非劣性を示すことはできなかったが、安全性の重大な懸念もなくオキシコドンには有効性を示す可能性が考えられる。
【コメント】
 がん患者の呼吸困難症状に対し、モルヒネは使用実績もありガイドラインにも記載されている第一選択である。しかし、実際の臨床の現場では、オキシコドンなどモルヒネ以外の薬剤も使用されており、モルヒネ以外による呼吸困難症状の改善を経験している方も少なくはないのではないかと思われる。その臨床疑問に一石を投じる興味深い試験である。今後、症例数を増やすこととでより確かな根拠になると思われる。

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