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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.82
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2019  82
Journal Club
免疫チェックポイント阻害剤の安全性比較
〜薬剤毎、2剤併用、conventional drugとの併用〜
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部
佐藤 淳也

BMJ. 2018 Nov 8;363:k4226. doi: 10.1136/bmj.k4226. Comparative safety of immune checkpoint inhibitors in cancer: systematic review and network meta-analysis. Xu C, Chen YP, Du XJ, Liu JQ, Huang CL, Chen L, Zhou GQ, Li WF, Mao YP, Hsu C, Liu Q, Lin AH, Tang LL, Sun Y, Ma J.


【目的】
 現在、免疫チェックポイント阻害剤(ICI)は、複数の薬剤があるほか、ICIの併用、既存の抗癌剤(conventional drug)との併用など治療選択肢が広がっている。ICIの毒性プロフィールの違いをシステマティックレビューとネットワークメタアナリシスの手法を用いて明らかにした。
【方法】
 データは、2007年〜2018年にHead to head のフェーズ2およびフェーズ3試験をPubMed, Embase, Cochrane Library, Web of Scienceから抽出した。ICIには、ニボルマブ、ペンブロリズマブ、イピリムマブ、トレメリムマブ、アテゾリズマブを含み、conventional drugには、殺細胞性抗癌剤の他、分子標的剤を含んだ。
【結果】
 36の試験から15,370名のデータを抽出した。グレード3-4の副作用発現率は、低い順にニボルマブ(14.4%)、アテゾリズマブ(15.7%)、ペンブロリズマブ(20.8%)、イピリムマブ(25.4%)、conventional drug(36.2%)、ICIとconventional drug併用(43.7%)、トレメリムマブ(52.3%)、ICI2剤併用(57.7%)であった。conventional drugに対するグレード3-4の副作用発現に関するオッズ比[95%信頼区間]は、ニボルマブ(0.25[0.15-0.42])、アテゾリズマブ(0.25[0.11-0.57])、ペンブロリズマブ(0.41[0.21-0.79])、イピリムマブ(0.89[0.42-1.96])、トレメリムマブ(1.85[0.45-7.49])、ICIとconventional drug併用(2.19[1.23-3.95])であった。イピリムマブおよびニボルマブに他のICI併用は、グレード3-4の副作用発現に関するオッズ比をそれぞれ2.86[1.05-7.69]および10.00[3.40-30.65]と増加させた。
【結論】
 肺癌では、ニボルマブ>アテゾリズマブ>ペンブロリズマブ、悪性黒色腫では、ニボルマブ>ペンブロリズマブの順に安全性が高かった。一方、肺癌では、ICIとconventional drug併用がICI単独あるいはconventional drugのみより、悪性黒色腫では、ICIとconventional drug併用がICI2剤併用より副作用が多いと結論された。
【コメント】
 複数のICIが登場するなかで、著者らのネットワークメタアナリシスの手法により、ICI間の副作用に差があることが示された。特にICI単独では、ニボルマブの安全性が比較的高いことが示された点は、薬剤選択に有用な情報であろう。副作用種別では、ICI2剤の併用の副作用リスクは、皮膚障害や下痢、肝機能障害、肺炎、内分泌障害などで増加する。一方、今後標準治療となるconventional drugとICIの併用は、倦怠感、悪心嘔吐、間質性肺炎、関節痛などの副作用が増加すると著者らは示している。このようなICIの副作用管理は、投与中のみならず、投与終了後に再燃することもあり、次治療あるいはbest supportive careに移行した場合でも、注意したモニタリングが重要である。

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