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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.81
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2018  81
巻頭言
緩和ケアのArt&Science
大阪大学大学院医学系研究科
荒尾 晴惠

 このたび、2019年6月21日から22日に横浜で開催される第24回日本緩和医療学会学術大会の大会長を務めさせていただくことになりました。テーマは「緩和ケアのArt & Science」です。発足当時より日本緩和医療学会は、緩和医療・ケアの科学的な発展Scienceと緩和医療・ケア提供、実践のArtの側面を大切にされていました。
 日野原重明先生は、広義の「医(medicine)」は医学も看護学も包括したもので、「医」の中には広義の「care」の概念が含まれ、医術とも表現され、この術はアートを取り込んだものであると述べられています。また、サイエンスは原理と法則を決めるがアートはそういうものは決めがたく、一人ひとりの個別的な患者に対して、個別的な術でアプローチする。例えば、「癌の診断はサイエンスである。しかし癌の告知はアートである」と述べられていました。つまり、アートは患者の立場になって、医療者の心と技を投入して対応することを意味しており、サイエンスの手だてを病む一人の個別的な人間に適用するケアに根ざした技といえます。しかし、このアートの部分は言語化されず、実践者の暗黙知となっていて共有ができていないことが多くあります。学術大会でこの暗黙知を言語にして共有することができればよいと考えています。
 緩和医療・ケアを提供する対象もがんだけではなく非がんにも拡がり、提供する場所も施設から在宅へと変化を遂げています。このように、緩和ケアの提供時期、対象、提供場所が変化しているからこそ、私達は、ScienceとArtの側面を緩和医療・ケアの両輪とし、学びあい、共有していく必要があるのではないでしょうか。
 第24回大会のポスター、チラシのデザインは、2つのクローバーで構成しました。1つはサイエンスを意味するゲノムでデザインしたクローバー、もう1つのクローバーは生活者としての人の多様性をアートに見立てて表現しました。そして、身体、心理、社会、スピリチュアルな側面を意味する4つでクローバーを表現しています。
 プログラムの構成は、組織委員と6つのワーキンググループのメンバーがテーマに基づいて活発なディスカッションを重ねて作成しています。2018年からは地方会も始まりましたので、展示には、地方会ブースを設置し、それぞれの地方の緩和医療・ケアについてPRしていただこうと考えています。第22回大会から引き続き開催されているPALも継続します。今年のPAL企画では、模擬カンファレンスも計画中です。
 病む人の苦しみを和らげる、緩和医療・ケアが学問として発展するために必要なサイエンスとそれを提供する医療者自身のもつアートについて学会員ならびに学術大会参加者の多様な皆様とディスカッションができればと思います。多くの皆様のご参加をお待ちしております。

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