line
Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.79
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2018  79
Journal Club
終末期意思決定におけるがん患者の家族の役割
名古屋大学大学院医学系研究科 看護学専攻
杉村 鮎美
Laryionava K, Pfeil TA, Dietrich M, Reiter-Theil S, Hiddemann W, Winkler EC. The second patient? Family members of cancer patients and their role in end-of-life decision making. BMC Palliat Care. 2018 Feb 17;17(1):29.

【目的】
 患者の意思決定プロセスに家族の意思を反映させることの利点や難しさに関する研究はがん医療においては少ない。本研究の目的は、終末期医療に携わる医師と看護師が認識する終末期患者の治療方針に関する意思決定における家族の役割を明らかにすることである。
【方法】
 対象者はドイツの都市部にある大学病院の血液/腫瘍部門に勤務する医師と看護師18名(医師12名、看護師6名)で、職業経験、職位、勤務場所は異なるよう選出した。調査は、会話可能な終末期がん患者の治療方針に関する意思決定について、@家族が果たす役割、A家族が関与することに対する医療者自身の意見、B家族の関与により生じる課題について、半構造化面接を実施した。逐語録を、内容分析法を用いて分析し、測定の一貫性は3名の研究者の分析結果で検証した。
【結果】
 医療者が認識する終末期がん患者の意思決定における家族の役割は、4つのテーマが抽出された。@患者の治療選択に対する家族の影響、Aさらなる治療への家族の強い意志、B終末期意思決定に関わる家族の精神的苦悩、C医療者が患者と家族の関係性を知ることの重要性であった。
【結論】
 医師や看護師は、家族が終末期患者の意思決定において重要な役割を担っていると認識していた。また、彼らは家族が患者と別人格として治療継続への強い意志を持ち、患者の意思決定に関わることで精神的負担感を抱く可能性があると認識していた。これらを踏まえて医療者が最適なケアを提供するために、患者と家族の関係性や家族機能を把握する必要があることが明らかとなった。今後は、家族のニーズや要望を体系的に評価し、具体的な支援を提供するシステムを構築する必要がある。
【コメント】
 家族ががん患者の意思決定に参画することは、患者の不安や苦痛を軽減する効果があるため(Newell, 2002)、家族の担う役割は重要である。終末期に起こりうる病状や療養場所の変化に伴い患者と家族の関係性は変化する。そのため、家族機能の変容に沿って継続的に家族のニーズのスクリーニングを行い、終末期患者の意思決定に家族が参画できるような支援が望まれる。

Close