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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.79
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2018  79
Journal Club
慢性非癌性疼痛患者のオピオイド誘発性便秘におけるナルデメジンの長期服用:
無作為化二重盲検第3相試験
山形大学医学部附属病院 薬剤部
志田 敏宏
Webster LR, Nalamachu S, Morlion B, Reddy J, Baba Y, Yamada T, Arjona Ferreira JC. Long-term use of naldemedine in the treatment of opioid-induced constipation in patients with chronic non-cancer pain: a randomized, double-blind, placebo-controlled phase 3 study. Pain. 2018 Feb 6. doi: 10.1097/j.pain.0000000000001174. [Epub ahead of print]

【緒言】
 末梢作用性μオピオイド受容体アンタゴニストであるナルデメジンは、中枢鎮痛作用に影響せずにオピオイド誘発性便秘(OIC)を改善するが、長期使用時のデータは限られている。本研究ではナルデメジンの長期安全性と忍容性を評価する。
【方法】
 52週間無作為化二重盲検第3相試験で、慢性非癌性疼痛を有するOIC患者を対象とした。通常の便秘治療に加えて、ナルデメジン0.2mg/日(n=623)またはプラセボ(n=623)を投与した。エンドポイントは治療中に発生した有害事象とした。さらに、便秘症状の評価、オピオイド離脱症状の有無、疼痛強度の変化およびQOLを評価した。
【結果】
 副作用発現率はナルデメジン群が68.4%、プラセボ群が72.1%(95%CI:-8.7?1.5)であった。下痢の発現が最も多く、ナルデメジン群で11.0%であった。治療群間で類似していたオピオイド離脱または疼痛強度の変化に有意差はなかった。便秘の症状およびQOLにおいて、ナルデメジン群で有意に改善した。排便回数は52週間の治療期間を通じて両群ともに有意に増加したが、日常的な下剤服用の他に頓用にて下剤を服用した患者の割合はナルデメジン群で低かった(8.0%vs14.0%)。
【考察】
 慢性非癌性疼痛の長期オピオイド療法服用患者において、プラセボと比較してナルデメジンが52週間の忍容性が良好であることを示した。
【コメント】
 OICおよびその関連症状は、QOLに悪影響を与えることが報告されている(Coyne KS et al. Clinicoecon Outcomes Res,6,269-281,2014)。OICに対する薬物治療としては、浸透圧性下剤に大腸刺激性下剤を組み合わせることが国内ガイドラインで推奨されており、従来の対応で効果不十分の際の選択肢として使用可能と考えられる。ナルデメジンは高価であり、長期使用する薬剤としては慎重に選択すべきである。従来の対策と比較したデータも今後は必要である。

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