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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.78
日本緩和医療学会ニューズレター
Feb 2018  78
委員会活動報告
小児緩和ケアの普及・啓発に向けた取り組み
−小児看護WGからの報告−
小児看護WG長  松岡 真里
WG委員  田村 恵子、竹之内 沙弥香、
竹之内 直子、名古屋 祐子、
川勝 和子
小児緩和ケアWPG委員長  永山 淳
 本WGは、専門的・横断的緩和ケア推進委員会の小児緩和ケアWPGの下部組織として位置づけられています。小児緩和ケアWPGは、成人の緩和ケアチームに対する小児緩和ケアの教育プログラム(CLIC-T)の実施を中心に取り組んでおります。その中で、子どもと家族のケアに携わる看護職の小児緩和ケアへの関心の向上、さらには教育の実施の必要性から本WGを立ち上げ、看護分野における小児緩和ケアの実態把握とその課題について議論して参りました。メンバーは、小児専門病院や小児がん拠点病院で勤務する小児看護専門看護師と、成人あるいは小児緩和ケアの教育や研究を実施している大学教員で構成されています。
 まず、本学会学術集会において、小児緩和ケアがどのような位置づけにあるか検討を行いました。過去5年間の学術集会抄録集から、セッションあるいは演題名に「子ども」、「小児」と、小児看護の対象になりうる「青年」、「AYA」、および小児科が対象とする高校生までの年齢(以下、小中高生)を対象とした内容が含まれるものを抽出し、分析を行いました。その中で見いだされた課題などについて、2017年の学術集会の感想を含めて報告します。
 まず2013年の学術集会のシンポジウム【非がん患者に対する緩和ケア】の中で、小児専門病院での取り組みが紹介されました。その後2017年まで、毎年、シンポジウムや講演に「小児緩和ケア」に関連するテーマが取り上げられています。特に、2017年の学術集会では、小児緩和ケアWPGが企画した【わが国の小児緩和ケア:10年の歩みとこれからの展望】の中で、「小児領域において、子どもの意向をどのようにとらえ、どのように終末期の意思決定に反映するか」が議論されました。そして、「小児緩和ケア」においては、認知発達の途上にある子どもにとっての最善と、そこに影響する親の意向、医療者の価値観などが複雑に絡み合い、子どものQOLの向上には、成人以上に多職種との連携・協働が必要であることが確認されました。また、【小児の終末期、どこで、どう過ごす?】というシンポジウムも開催されました。近年、成人同様、小児領域、中でも、小児がんの子どもが終末期を過ごす場所として、「自宅」が選択肢の一つとなってきています。自宅で最期の時間を過ごすことは、子どもだけでなく、その選択をしていく過程での家族と話し合いのプロセスそのものが、子どもを亡くす親の悲嘆のケアにもつながることが触れられました。
 また一般演題において、「小児」、「子ども」、「青年/AYA」、「小中高生」がタイトルに含まれていたものは、2016年度には54演題、それ以外の年では、22~25演題が報告されていました。報告の内訳は、小児緩和ケアの対象となる子どもと家族(遺族も含む)に関する調査、緩和チームの介入評価や小児緩和ケアに携わる専門職の認識の調査など、小児緩和ケアを取り巻く演題が6~26題、次いで、「親ががんの子ども」に関する演題が4~21題でした。小児緩和ケアを取り巻くものに関する演題の中では、小児がんの子どもたちに関する演題が6割以上を占め、重症心身障がいや18トリソミーなど染色体異常、また心疾患など非がんの子どもたちの演題は少ない傾向にありました。しかし、2015年度の学術集会以降、小児がん・非がんの子ども双方を対象とした小児緩和ケア介入に関する「緩和ケアチーム」の取り組みが報告されています(2015年;1題、2016年;5題、2017年;3題)。
 発表の多くは、一施設での取り組みや事例報告であり、「小児緩和ケア」について、模索しながら取り組んでいることが現状であるとわかりました。疾患や障がいの特徴もありますが、「緩和ケア」という視点で、本学会が蓄積してきたものを小児医療に関連する学術団体と協働していくことも必要ではないかと思います。そのためには、本学会の他委員会との連携とご支援をいただくことも重要だと感じました。また、発表者の多くは医師であり、小児看護に携わる看護師からの発表は、2013年の1名から2017年には7名と微増しているものの、未だ「緩和ケア」という概念が小児看護領域の看護師に浸透していない可能性もうかがえました。「小児緩和ケア」については、医師向けの教育プログラムはありますが、現在「小児緩和ケア」について、看護職が系統的に学習する機会がありません。つまり、小児看護に携わる看護師を対象として考えた場合、「小児緩和ケア」は、まだまだ啓発が必要な段階であり、どこにいても、どんな時でもケアの受け手である子どもや家族に緩和ケアが適切に届くようになるためには、教育的な取り組みが求められると考えます。
 「小児緩和ケア」の普及のために、今後も本WGでは、小児緩和ケアWPGや親委員会である専門的・横断的緩和ケア推進委員会と意見交換をしながら、課題の整理とともに、まずは、優先して啓発、教育すべき対象およびびその効果的な方法について検討を進めてまいります。今後ともご支援賜りますよう、どうぞよろしくお願いいたします。

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