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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.77
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2017  77
Journal Club
早期緩和ケア介入による肺がんおよび消化器がん患者の介護者への効果:RCT
東北大学大学院医学系研究科
保健学専攻 緩和ケア看護学  清水 陽一

El-Jawahri A, Greer JA, Pirl WF, Park ER, Jackson VA, Back AL, Kamdar M, Jacobsen J, Chittenden EH, Rinaldi SP, Gallagher ER, Eusebio JR, Fishman S, VanDusen H, Li Z, Muzikansky A, Temel JS. Effects of Early Integrated Palliative Care on Caregivers of Patients with Lung and Gastrointestinal Cancer: A Randomized Clinical Trial. Oncologist. 2017 Sep 11. pii: theoncologist.2017-0227. doi: 10.1634/theoncologist.2017-0227.

【目的】
 進行期がん患者とその家族に対する早期緩和ケア介入による介護者への効果を検証すること。
【方法】
 新規に進行がんと診断された肺癌患者ならびに大腸癌以外の消化器がん患者とその家族を対象に、(腫瘍内科による支援+早期緩和ケア介入)と(腫瘍内科による支援単独)を比較するための非盲検化RCTを単施設で行った。早期緩和ケア介入では診断後より最低1カ月に1回は患者のもとを訪問したが、家族が緩和ケア外来に付き添うかどうかは、促しはするが要求はしなかった。
【結果】
 350名の患者に対して275名の介護者(早期緩和ケア介入群:n=137、対照群:n=138)が参加。12週後の時点で、介護者の心理的苦痛(HADS-Total: -1.45(95%信頼区間=-2.76 to -0.15、p=0.029))と抑うつ(HADS-D: -0.71(95%信頼区間=-1.38 to -0.05、p=0.036))に改善がみられたが、不安に改善はなかった。24週後の時点ではいずれも差がなかった。患者の死亡などによる脱落による欠損を補完し補正した解析では、患者の亡くなる3カ月前と6カ月前の両時点で心理的苦痛(HADS-T)、抑うつ(HADS-D)、不安(HADS-A)に対しては効果が確認された。QOL(SF-36)については、どの時点でも補正後でも差は確認されなかった。
【結論】
 早期緩和ケア介入による利益は、患者を超えて介護者に対しても良い効果をもたらすことが証明された。特に抑うつ症状、そして死期が近づいた時の不安症状に対して良い影響があることが分かった。
【コメント】
 本研究によって、ENABLE試験のように介護者に対する直接的な特別な介入プログラムを実施せずとも、早期緩和ケア介入によって介護者のアウトカムの改善に繋がることが示された。しかし、介護者が緩和ケア外来の医療者と直接話すことによる効果なのか、患者アウトカムが改善することによる間接的な効果なのかなど、介護者のアウトカムの改善に繋がるプロセスは明らかにされていない。これらのプロセスが今後、明らかにされることを期待する。

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