line
Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.77
日本緩和医療学会ニューズレター
Nov 2017  77
Journal Club
電子端末(Web)を用いた症状フォローシステムは、
がん患者の生存延長に寄与する
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部
佐藤 淳也

Denis F, Lethrosne C, Pourel N, Molinier O, Pointreau Y, Domont J, Bourgeois H, Senellart H, Trémolières P, Lizée T, Bennouna J, Urban T, El Khouri C, Charron A, Septans AL, Balavoine M, Landry S, Solal-Céligny P, Letellier C. Randomized Trial Comparing a Web-Mediated Follow-up With Routine Surveillance in Lung Cancer Patients. J Natl Cancer Inst. 2017 Sep 1;109(9). doi: 10.1093/jnci/djx029.

【目的】
 これまで、通院がん患者が電子端末(Web、以下Web端末とする)を用いて定期的に医療者に症状報告するシステム(Web端末フォロー)は、症状コントロールやQOL改善に有用であると報告されてきた。しかし、Web端末フォローの生存への影響は不明であった。本研究では、進行肺がん患者を対象にWeb端末フォロー患者と通常のケア患者の生存期間への影響を比較検討した。
【方法】
 進行肺がんに対してベスト・サポーティブ・ケアを含む初期治療を始めた患者133名(95%がステージVおよびW)をWeb端末フォロー群と通常ケア群にランダム化した。Web端末フォロー群では、毎週1回、体重、食欲、疼痛、呼吸苦、咳、嗄声、気分の落ち込み、喀痰など12項目の症状を4段階でWeb端末から報告した。症状が一定の基準を越えて増悪した場合、医療者に緊急メールが送られるシステムとした。
【結果】
 評価期間中央値は、9カ月であった。Web端末フォロー群の生存期間は、通常ケア群に比べ有意に長かった(19.0カ月 vs 12.0カ月, ハザード比0.32, p=0.002)。また、病状の進行を認めた時のPerformance status(PS)が良好(0または1)であった割合は、Web端末フォロー群で有意に高く(75.9% vs 32.5%, p<0.001)、この時に適切な治療が開始できた割合も同様であった(72.4% vs 32.5%, p<0.001)。
【考察】
 著者らは、Web端末フォローが患者の予後を延長した理由として、@病勢増悪を早期に発見し、PSが良好な段階でサルベージ治療が開始できたこと、A危険な症状(肺炎、肺塞栓、深部静脈炎、心内膜炎など)を早期に発見できたこと、B支持療法の有効性を経時的に評価できたことを考察している。
【コメント】
 今回の報告は、フランスの肺がん患者での報告であるが、同様のWeb端末フォローを用いた米国の進行がん患者766名のランダム化比較試験においても、化学療法継続期間および全生存期間の延長が報告されている(それぞれ8.2カ月 vs 6.3カ月, p=0.002および31.2カ月 vs 26.0カ月, p=0.04; J Clin Oncol 2016;34:557-65.およびJAMA 2017;318:197-8)。実臨床におけるがん治療では、紙媒体の治療日誌などから症状管理に努めているが、これを受診時に評価することが多いため、症状の早期発見には寄与しにくい。スマートフォンなどWeb端末を用いた症状管理は、症状が医療者に随時報告され、また一定の基準を超えた場合の受診勧奨がスクリーニングされるなど、がん患者の治療を支援するツールとして有効性が高いと思われた。

Close