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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.76
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2017  76
委員会活動報告
委託事業委員会
−新しい緩和ケア研修会の指針作成における厚生労働省への申し入れ案−
委託事業委員会
委員長  上村 恵一
 会員の皆さまにおかれましては、日頃から厚生労働省委託事業へのご協力誠に感謝申し上げます。本稿では2017年度委託事業の中から、今年度厚生労働省から発出予定の緩和ケア研修会の新しい開催指針の作成について、当会から下記のような開催指針となるよう申し入れ、協議を行っております。また開催指針の改訂のスケジュールは、2018年度は現指針と新指針の移行期間、2019年度より新指針へ完全移行の予定となっております。厚生労働省からの指針発出は2017年12月頃と見込んでおり、2018年2〜3月にかけて新指針に対応した指導者研修会ならびに現在の緩和ケア研修会指導者を対象とした新指針伝達研修会を開催する予定としております。詳細はホームページ、メーリングリストなどでの今後のご案内をご覧いただければと思います。当会会員の多くが本研修会の運営に寄与していただいてる現状を鑑み、ここに現時点での進捗をご報告いたします。本申し入れは当会からの申し入れ内容に過ぎず、実際に厚生労働省から発出される指針とは大きく異なる可能性がありますことをご了承下さい。

緩和ケア研修会の今後の開催の進め方について(当会からの申し入れ内容)
●緩和ケア研修会の新たな形態について
 緩和ケア研修会は、eラーニング(これまでの研修会の講義部分)と、集合研修からなる。eラーニングには受講後にテストを設け、これに合格すれば集合研修に参加することができる。集合研修の修了をもって緩和ケア研修会を修了したとみなす(eラーニング修了時にも受講修了書を発行し、集合研修受講にはこの提出を必須とする)。

●研修会の対象について
 緩和ケア研修会の対象は、がんなどの診療に携わる医師・歯科医師を対象とする。なお、緩和ケアは医師・歯科医師のみで行うケアではないため、集合研修においては多職種で行うことを妨げないこととする。

●eラーニングについて
 学習項目案は下記の通り
 ア 苦痛のスクリーニングとその結果に応じた症状緩和について
イ がん疼痛の機序、評価及びWHO方式のがん疼痛治療法を基本とした疼痛緩和に係る治療計画などを含む  具体的なマネジメント方法について(放射線治療や神経ブロックの適応も含めた専門的な緩和ケアへの依  頼の要点及び多様化する医療用麻薬の使用上の注意点などにも配慮した内容であること)
ウ 呼吸困難、消化器症状等のがん疼痛以外の身体症状に対する緩和ケア
エ 不安、抑うつ及びせん妄等の精神心理的症状に対する緩和ケア
オ 悪い知らせを伝える際のコミュニケーション
カ 治癒が困難な疾患と診断された時から行われる当該患者の治療全体の見通しについての説明について
キ 患者の視点を取り入れた全人的な緩和ケアについて
ク 患者の療養場所の選択、地域における医療連携、在宅における緩和ケアの実際について
ケ 患者の意思決定支援について
コ がん以外の緩和ケアについて
サ 家族・遺族のケアについて

●集合研修について
 集合研修の学習項目原案は、以下の通り。研修時間の合計は240分以上とする。
  @質疑応答を含んだ講義
   講義部分をeラーニングのみで学習したことでの学習効果が限定的であることに鑑み、集合研修の冒頭部分に質疑応答を設ける。eラーニングで学んだ内容の確認と疑問点解決のための講義時間を作る。
  A事例検討
   現在のM4(がん疼痛事例検討)+M9(療養場所の選択と地域連携)のセッションを想定。事例は、がんと非がん(心不全あるいはCOPD)を扱い、現在のM-4a(腎がん)・b(乳がん)・c(肺がん)にがん以外の事例としてM-4dが追加されるイメージを提案する。
  B悪い知らせを伝えるためのコミュニケーションのロールプレイ
   M-8(コミュニケーション)をイメージ。オピオイドを開始するときのロールプレイは行わない。

●指導者研修会について
  今後、心不全を扱う循環器内科の医師など普段あまり緩和ケアの診療に従事していない医師も指導者研修会に参加することが想定される。総合病院に勤務する精神科医、心療内科の相当数は既に指導者研修会を受講済であることが推察される。よって、緩和ケア・精神ともに緩和ケアの基本的教育内容を取り入れることも念頭に今後との指導者研修会のあり方について引き続き協議していく。

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