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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.76
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2017  76
よもやま話
精神科リエゾンチームのご紹介
がん・感染症センター 都立駒込病院 神経科 心理士
武村 尊生
 近年、チーム医療の重要性がますます強調されています。緩和ケアチームをはじめ、認知症ケアチームや救急患者継続支援チームなど、様々な目的で多職種が協働する場面が増えてきました。精神科リエゾンチームもその一つです。今回は、精神科リエゾンチームについて紹介させていただきます。

 精神科リエゾンチームは、平成24年度診療報酬改定で加算が新設されたことに伴い、全国的にチーム設立の機運が高まりました。しかし、それ以前から、精神科コンサルテーション・リエゾン活動として、多くの医療機関で実践されていました。
 リエゾンの語源はフランス語です。「連携」「つなぐ」という意味があります。がんをはじめとする重大な病気は、患者さんの身体のみならず、こころにも影響を及ぼします。不眠や気持ちの辛さ、病気になってしまったやり場のない気持ち、ほかにも様々なことが起こりえます。精神科リエゾンチームは、入院されている患者さんやご家族が、安心して治療が受けられるよう活動しています。

 精神科リエゾンチームとは、精神科医師、臨床心理士、精神看護専門看護師、精神保健福祉士、薬剤師、作業療法士など精神科医療に携る多職種からなる医療チームです。一般病棟に入院している患者さんやその家族の精神症状や心理的問題に対し、その状態を多面的にアセスメントし、精神医療と身体医療の連携を図り、全人的な視点から精神科治療、心理社会的ケアを病棟チームと連携して行います。それぞれの専門性をつなぎ、精神医療と身体医療が途切れることのない全人的なサポートを目標としています。また、治療に関わるスタッフが治療やケアを行いやすくなるようにし、医療従事者のバーンアウト(燃え尽き)を防止することも目指しています。
 チームの名称、具体的な活動内容は、各医療機関の特色やチームの掲げる理念や目標によって、一般的に少しずつ異なります。

 私は現在、がん・感染症センター 都立駒込病院において、臨床心理士として、リエゾンチームの活動に参画しています。チーム内で臨床心理士は、精神科的診断の補助、心理的援助、家族への支援、患者・家族と医療者間のコミュニケーション支援、医師・看護師への助言等を行っています。また患者・家族のみならず、医療を提供するスタッフをも含めた全体の俯瞰を行うことも役割の一つと考えています。例えば、個々のスタッフが患者さんに対してどのような思いで診療にあたっているか、スタッフ自身が精神的な健康バランスを良好に保つことができているかにも目を向けています。

 リエゾンチームの介入終了は、患者さんや家族の精神・心理的問題が改善した時、退院した時、病棟スタッフだけで対応が可能となったときに、介入を終了としています。困ったときにサポートを開始し、それが解決した時が引き際と考えています。主役はあくまでも患者さんと家族、そして主治医や病棟、治療にあたるチームのスタッフです。リエゾンチームの役割は黒子と考えています。

 ここから先は、個人的な見解となることをご承知おき願います。
 治療の経過中、困ったことは起きないことに越したことはありません。病棟からリエゾンチームが呼ばれないことは、スタッフや患者さんが困っていないということ、つらい思いをしていないということであり、ある意味治療が理想的に遂行されていることの現れとも言えるでしょう。また、困ったことの解決を通じて、精神・心理的問題の解決力をどんどんパワーアップしていただければ嬉しいなとも考えています。
 誤解を承知で表現すれば、リエゾンチームのメンバーからみた究極の理想は「依頼がなくなってしまうこと」かもしれません。しかし現実は大変厳しく、それを実現することは遠い道のりの遥か彼方であると日々感じています。
 依頼がなくなり、失業するのはある意味困りますが、少しでも理想に近づけるよう、今後も日々努力していきたいと考えております。
 最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

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