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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.76
日本緩和医療学会ニューズレター
Aug 2017  76
Journal Club
超高齢者のエンド・オブ・ライフケアと死亡場所の希望:
VOICES短縮版を使用した人口調査
東北大学大学院医学系研究科
保健学専攻緩和ケア看護学分野  五十嵐 尚子
Hunt KJ, Shlomo N, Addington-Hall J. End-of-life care and preferences for place of death among the oldest old: results of a population-based survey using VOICES-Short Form.J Palliat Med. 2014 Feb;17(2):176-82.

【目的】
 超高齢者の最期の3カ月に受けたケアと死亡場所の希望の決定に関して探索することした。
【方法】
 本調査は自記式質問紙による後ろ向き横断調査である。本調査は英国の全国遺族調査(View of Informal Cres-Evaluation of Service: VOICES)の予備調査として行った。対象は2009年10月〜2010年4月の期間に死亡した2つの地域の住民の遺族である。抽出されたのは2,272名でそのうち除外されたのは850名(変死:788名、別の地域で死亡:8名、18歳以下:13名、遺族が海外にいる:17名、遺族が引っ越しをした:24名)であった。よって1,422名を対象とした。死別後6〜12カ月の遺族にVOICES短縮版の質問紙を送付した。解析は85歳以上と85歳未満で比較をした。
【結果】
 有効回答数は473名(33%)だった。故人の48%は85歳以上の超高齢者だった。85歳以上の群の認知症を有していたのは20.4%と有意に多かった(p<0.01)。85歳以上と85歳未満で最期の3カ月のケアの質に違いは無かった。しかし、最期の2日間の疼痛以外の症状コントロールや心理的・スピリチュアル的なケアは85歳以上の方が有意に評価は低かった(p=0.02〜0.05)。また、85歳以上の群は、85歳未満の群と比較して以下の項目が有意であった。死ぬ事を知らない(p<0.02)、死亡場所の希望の記録が無い(p<0.01)、希望した場所で最期を過ごせない(p<0.01)、死亡場所について十分な選択肢が無い(p<0.05)、望まない治療選択が行われる(p<0.01)。また、在宅死の予測因子は在宅での十分なサポートと希望の死亡場所の記録であり、年齢は関連しなかった。
【結論】
 本調査で超高齢者が不平等な最期を迎えているのが明らかになった。最期の2日間のケアの評価の低さや死亡場所の十分な選択肢がない事は、早期に患者と家族へEOLについての話し合いを行うことの重要性を強調している。早期からのEOLでの治療の選択や死亡場所についての話し合いは超高齢者にとってより治療決定を自身でコントロールが可能であるし、死亡場所の希望を記録する事に繋がる。
【コメント】
 本調査より、合併症や老化による身体機能の衰えのために複雑化する身体的問題と認知症などによる認知機能の低下がより顕著となりやすい超高齢者へのEOLケアの困難さを改めて感じた。早期からEOLケアについての話し合いはとても重要であるが、話し合うタイミングが課題となる。認知症や心不全など非がんで予後予測が困難で経過が長い場合にどのタイミングでEOLの話し合いを行うか、今後更なる議論が必要である。

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