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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.75
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2017  75
委員会活動報告
委託事業委員会
委託事業委員会
委員長  上村 恵一
 会員の皆さまにおかれましては、日頃から厚生労働省委託事業へご協力いただきまして感謝申し上げます。本稿では2016年度委託事業の活動についてご報告申し上げます。

はじめに
 当会が受託している厚生労働省委託事業は、2006年のがん対策基本法、同年に策定されたがん対策推進基本計画に基づいて、2007年度に「がん医療水準の均てん化を目的とした医療水準等調査事業」、「がん医療における緩和ケアの意識調査等事業」を受託してから10年の節目を迎える。今後は、昨年の末、がん対策基本法が改正され第15条において新たに定められた「緩和ケア」の定義、すなわち「がんその他の特定の疾病に罹患した者に係る身体的若しくは精神的な苦痛又は社会生活上の不安を緩和することによりその療養生活の質の維持向上を図ることを主たる目的とする治療、看護その他の行為」をより均てん化するための役割を担うこととなる。
 2017年度の委託事業は緩和ケア研修会の一部eラーニング化と、その学習内容をがん以外に広げることを大きな柱としている。

1.緩和ケア普及啓発WPG
@緩和ケア研修会修了者バッジの配付
 緩和ケア研修会修了者バッジは、2015年8月に「がん診療に携わる医師に対する緩和ケア研修会の開催指針(健発第0401016号平成20年4月1日付健康局長通知)」が改正され、研修会終了時に修了証書と共に交付されることとなったが、厚生労働省委託事業では、まだ修了者バッジを受領していない医師に対して配付を行った。施設からの一括申請を原則とし受付を行ったところ、施設単位での申請が255件、個人単位での申請が75件あり、計2,501個の修了者バッジを配付した。
A緩和ケア普及啓発イベントの開催
 2016年度は、一般市民を対象とした街頭イベントおよび市民公開講座を各1回、医療従事者を対象とした講演会を1回開催した。
 街頭イベントは、2017年2月5日にサッポロファクトリー(北海道札幌市)で開催した。商業施設内のオープンスペースを会場に選定し、緩和ケアへの興味や世代に拘わらず広く普及啓発を行った。当日は緩和ケアの過去と現在を知ることができる展示や、北海道内のがん診療連携拠点病院に協力いただき各病院情報の提供などを行った。緩和ケアに関する講演会(市民公開講座)には延べ762名もの一般市民が参加された。
 2017年2月12日に丸ビルホール(東京都千代田区)で開催した市民公開講座には369名、同日に開催した医療従事者向け講演会には173名もの方が参加下さり、緩和ケアへの関心の高さが伺えた。
B緩和ケア普及啓発動画の作製
 一般市民に対して「がんの痛みやつらさを訴えることの重要性」を普及啓発することを目的に、緩和ケア普及啓発動画を作製した。本動画は前述の普及啓発イベントで上映し、今後、緩和ケア普及啓発活動公式ホームページ「緩和ケア.net」でも公開予定である。(2017年3月現在)

2.緩和ケア研修WPG
@病院長等幹部対象緩和ケア研修会の開催
 病院長などの病院幹部に、緩和ケアおよび緩和ケア教育の重要性を実感いただき、自施設内で緩和ケア研修会より多く開催されるよう促すことを目的とする、緩和ケア研修会を開催し、51名が修了した。
A緩和ケアおよび精神腫瘍学の基本教育に関する指導者研修会の開催
 2016年度は計3回の指導者研修会を開催した(うち1回は緩和・精神を合同開催)。本研修会は、毎回、定員を大きく上回る応募があるため、本年度からは、指導者研修会修了者が在籍しないがん診療連携拠点病院に所属する受講希望者を優先することとした。
 〈第29回(緩和のみ)〉応募者214名/修了者60名
 〈第30回(緩和のみ)〉応募者181名/修了者59名
 〈第31回(合同)〉緩和応募者123名/修了者63名、精神応募者65名/修了者60名
Bこれからの緩和ケア研修会
 現在の緩和ケア研修会は、研修時間が長い点、継続学習ができない点、受講者のレベルに応じた学習が困難な点などが課題であるが、これに加えてがん以外の疾患を診療する医師なども受講できるよう研修会整備する必要がある。そこで、今後は緩和ケア研修会の座学講義部分にe-ラーニングを導入し、学習効率の向上を目指したいと考えている。

3.SHARE-CST WPG
@研修会の開催
 2016年度はファシリテーター養成講習会を1回(全8日間)とコミュニケーション技術研修会を2回開催した。本年度は、両研修会共に定員を上回る応募があった。
 〈ファシリテーター養成講習会〉応募者34名/修了者12名
 〈コミュニケーション技術研修会(以下は見学者を除いた数)〉
 第1回…応募者51名/修了者28名
 第2回…応募者53名/修了者30名
A研修会受講の単位認定について
 本年度より、コミュニケーション技術研修会の受講が、日本がん治療認定医機構の定めるがん治療認定医申請資格の内、学術単位(選択)5単位として認められた。
BCST事業の移管について
 本学会では、2014年度より3年間にわたり、厚生労働省委託事業においてコミュニケーション技術研修事業を主催してきた。2017年度からは、日本サイコオンコロジー学会が主催となり、厚生労働省委託事業ではなく学会の活動として研修会を運営していくことが決定している。本学会は引き続き共催団体として日本サイコオンコロジー学会とともに本研修会活動に取り組んでいきたい。

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