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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.75
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2017  75
Journal Club
進行がん患者の家族に対する早期緩和ケアの影響についての
クラスターランダム化比較試験
東北大学大学院医学系研究科
保健学専攻 緩和ケア看護学分野  青山 真帆
McDonald J, Swami N, Hannon B1, Lo C, Pope A, Oza A, Leighl N, Krzyzanowska MK, Rodin G, Le LW, Zimmermann C. Impact of early palliative care on caregivers of patients with advanced cancer: cluster randomised trial. Ann Oncol. 2016 Sep 29. pii: mdw438.

【目的】
 早期緩和ケアは、進行がん患者のquality of life (QOL)やケアに対する満足度の向上への効果が明らかになっているが、家族への影響は明らかではない。そのため本研究では早期緩和ケアが進行がん患者の家族のQOLやケアに対する満足度に与える影響について明らかにすることを目的とした。
【方法】
 24のがん診療所をクラスターランダム化、がん原発部位(肺、胃腸、泌尿生殖器、乳腺、婦人科)で層別化し、患者を早期緩和ケアチーム紹介群(介入群)と標準治療群(対照群)に割り付けた。両群の患者の家族に対して、ケアに対する満足度(FAMCARE-19)、QOL(SF-36v2, CQoL-C)をベースラインとその後、月毎に最大4カ月間調査した。介入群に対する効果について、3カ月後および4カ月後のケアに対する満足度、QOLを対照群と比較を行った。
【結果】
 ベースラインは計182名(介入群;94名、対照群;88名)が回答し、計151名(介入群;77名、対照群;74名)が最低1回のフォローアップ調査に参加した。ケアに対する満足度は3カ月後(p=0.007)と4カ月後(p=0.02)の調査で対照群と比較して、どちらも介入群で有意に向上した。QOLについては、SF-36 v2、CQoL-Cどちらの尺度で評価した結果においても、介入群と比較群で3カ月後または4カ月後いずれも有意な差は認められなかった。
【結論】
 早期緩和ケアは、進行がん患者のケアに対する満足度を向上させた。
【コメント】
 QOLでは対照群と比較群に有意差はみとめられなかったが、家族のQOLはケアに対する満足度と異なり、患者のがん治療以外の要因も多く関連するであろうことから、患者への早期緩和ケア介入によって変化が生じにくかった可能性がある。先行研究から、患者の療養中の家族の健康状態やケアに対する満足度の低さが死別後の悲嘆やうつと関連することが明らかとなっており、早期緩和ケアは遺族の精神的健康にも良い影響をあたえる可能性がある。

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