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Japanese Society for Palliative Medicine
News Letter No.75
日本緩和医療学会ニューズレター
May 2017  75
Journal Club
がん性摂食障害−悪液質症候群に対するアナモレリンの有効性;メタアナリシス
静岡県立静岡がんセンター 薬剤部
佐藤 淳也
Bai Y, Hu Y, Zhao Y, Yu X, Xu J, Hua Z, Zhao Z. Anamorelin for cancer anorexia-cachexia syndrome: a systematic review and meta-analysis. Support Care Cancer. 2017 Jan 10.

【目的】
 グレリンは、消化管から分泌される食欲促進ホルモンである。アナモレリンは、グレリンの経口アナログ製剤として、成長ホルモン(GH)の分泌を促し、食欲、筋肉量、体重を増加させ、悪液質を改善する。論文では、アナモレリンの臨床的有効性をメタアナリシスの手法で解析した。
【方法】
 アナモレリンを使用した臨床報告284報から、試験デザインがプラセボを設けたランダム化比較試験を抽出した。評価項目として、除脂肪体重(LBM)および全体重変化、Edmonton Symptom Assessment Scale(ASAS;0=ワースト,10=症状なし、100点満点)、握力、IGF-1分泌量、副作用を評価した。
【結果】
 4論文からアナモレリン投与群764名、プラセボ群404名が解析された。筋肉量を示すLBMおよび全体重は、アナモレリン投与群で有意に増加した(0.34kg, p<0.00001および1.91kg, p=0.007)。QOL指標であるASASも、アナモレリン投与群で有意に増加した(8.05点, p<0.00001)。その他、GH分泌の指標であるIGF-1は、有意な分泌増加をしたが、握力については、有意差がなかった。副作用は、悪心などが多かったが、プラセボと発現率に有意差がなかった。
【結論】
 一部の結果に異質性を認めたもののアナモレリンは、悪疫質に伴う各種症状を改善し、QOLを向上させると結論づけられた。
【コメント】
 がん性悪液質は、食欲不振と体重減少を生じ、抗がん剤の毒性が増加するなど予後に影響する。さらに、悪液質に陥ると倦怠感も増し、QOLは著しく低下する。これまで、悪液質に対しては、ステロイド、メゲストロール、ω3系脂肪酸(EPA)などが検討されてきたが、それらの効果は限定的である。例えば、ステロイドの効果は2週程度と一時的である。また、メゲストロールによる体重増加は、脂肪によるもので、QOLは増加しないとされる。今回、アナモレリンの有効性は、LBMやQOL指標など複合的なアウトカムで示された。抽出された3論文では、12週間にわたり評価されており、長期間の有効性が期待される。最近、日本人におけるphase2試験においても有効性と安全性が報告(Support Care Cancer 24;3495-3505:2016)されており、今後臨床での登場が強く期待される。

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